経団連は2日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会(三浦惺委員長)を開催した。当日は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の石井淳子局長から、「今後の雇用均等行政」について説明を聞くとともに、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。
■ 雇用均等行政の現状と課題
日本の総人口は減少局面にあり、すでに労働力人口は減少している。そのため、潜在的労働力である女性の就業率を上げることが必要である。
日本の女性は、第1子出産前後に約6割が仕事を辞めている。その理由をみると、約4割は「家事・育児に専念するため自発的に辞めた」だが、「解雇された、退職勧奨された」も約1割を占める。
また、事業規模100人以上の企業の育児休業取得率は9割を超えるが、一方で、非正規社員の取得率は低い。現在出産適齢期にある女性の世代は、非正規社員が多く、継続就業率が伸びない原因にもなっている。待機児童問題への対応は女性の就業率向上に欠かせないが、特に都市部の問題であり、保育所の定員数の増加幅を上回る勢いで利用希望者が増加しているのが現状である。
次に女性の管理職登用について、管理職に占める女性の割合が、欧米では3割を超えるのに対し、日本は1割程度であり、国際的にみると依然として水準は低い。女性管理職が少ない理由として「知識・経験」「勤続年数」の不足を挙げる企業が多い一方で、女性に対する教育訓練が男性と比して十分行われていない現状もある。女性に対する教育訓練を拡充し実力をつけてもらうことで、一層の登用を進めてもらいたい。
■ 雇用均等行政の施策と今後の方向性
安倍政権は、女性の社会進出を成長戦略の中核として位置づけている。先般、経団連においても、「女性の活躍推進部会」を立ち上げ、女性活躍の企業事例集を公表したと聞いており、経済団体の活動に期待したい。
個別課題の対策として、まずは各所管法の履行確保を図るとともに、男女雇用機会均等対策については、ポジティブ・アクションを推進するためインセンティブの付与等を考えていきたい。また、現在労働政策審議会において議論されている男女雇用機会均等法の見直しについては、今秋にも報告を取りまとめていただきたいと考えている。
パートタイム労働対策については、パート労働者の均等・均衡待遇の確保等に取り組む事業主への支援を行う。また、昨年6月に建議された「今後のパートタイム労働対策について」を受けた対応も迅速に行いたい。
待機児童問題については、待機児童解消加速化プランを着実に実施し、2017年度末までに合計約40万人分の保育の受け皿を確保し、待機児童ゼロを目指す。
【労働法制本部】