経団連の経営労働政策委員会(宮原耕治委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館で今年度の第1回会合を開催し、「2014年版経営労働政策委員会報告」(以下、経労委報告)の作成方針案ならびに骨子案について、審議を行った。
経労委報告は、毎年の春季労使交渉・協議における経営側のスタンスを中心に、雇用・労働問題に関する基本的な考え方を示すものである。
冒頭、あいさつした宮原委員長は、「行き過ぎた円高の是正や株価の回復など、わが国経済は好転し始めている。一方で、地方や中小企業の景況感は依然として厳しく、海外経済等のリスクも懸念されている」と指摘したうえで、「今後の見通しが立ちにくいなかで、来年の労使交渉は例年になく難しくなる」と述べた。加えて、「雇用・労働市場の改革や女性の活躍推進などの課題についても、考え方を示す必要がある」と述べた。
その後の審議では、日本経済の現状や成長に向けた課題として、「日本経済は良い方向に向かっている」「最低賃金の大幅な引き上げなどにより、地方や中小企業からは経営が厳しいとの声が寄せられている」「社会保障制度改革が必要だ。社会保険料負担の増大により、企業負担が高まるだけでなく、従業員の手取収入が減っていく」といった意見が出された。
雇用・労働関係では、「多様な人材の活用に向けて柔軟な仕組みづくりが必要だ」「女性の活躍推進や仕事と介護との両立は重要な課題である」「障害者雇用促進法の改正については、企業の実務上、難しい問題をはらんでいる」「賃金は、企業ごとの支払能力を基準とし、個別労使で決定するとの基本スタンスを維持すべきだ」など、活発な意見交換が行われた。
今後は11月、12月に会合を開催し、来年1月下旬に「14年版経労委報告」を発表する予定である。
【労働政策本部】