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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年8月29日 No.3143 家電エコポイントや再生可能エネルギーの固定価格買取制度の評価について説明聞く -資源・エネルギー対策委員会企画部会/一橋大学の青島教授から

政府は今年3月から、新たなエネルギー基本計画の策定に向けた議論を始め、年内を目途に取りまとめるべく検討を進めている。同計画は国民生活や企業活動に与える影響が極めて大きいため、経団連としても望ましいエネルギー政策について検討を行い、政府に働きかけていく予定である。

特に、再生可能エネルギーや省エネルギーについては、しばしば、需要刺激や規模の経済の拡大を通じた日本経済の成長(グリーン成長)への期待が示される。

そこで経団連は5日、東京・大手町の経団連会館で資源・エネルギー対策委員会企画部会(鯉沼晃部会長)を開催し、一橋大学イノベーション研究センターの青島矢一教授から、従来のグリーン成長政策の評価および今後の政策のあり方について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日本が直面する三つの課題

現在日本は、(1)温室効果ガスの削減(2)エネルギーの安定供給(3)経済成長――という三つの課題を抱えるが、このうち一つを解決しようとすれば他の問題が大きくなるという矛盾する関係に立つ。しかし、再生可能エネルギーおよび省エネルギー技術の開発・普及や関連産業の発展によってこの矛盾は解決できるように見える。そこで政府は、さまざまな政策を模索している。その例が、2009年5月~11年3月に実施されたエコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業および12年7月に開始された再生可能エネルギーの固定価格買取制度である。

■ 三つの課題の同時解決を目指した政策の評価

  1. (1)エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業
    事業予算額の8割以上が購入補助に当てられた省エネ型テレビについては、1台当たりの年間消費電力は約16%程度削減されたにすぎず、当初の想定よりかなり少ない。
    また、経済産業省は、「5兆円の経済効果をもたらし、32万人の雇用を創出した」と発表しているが、5兆円の経済効果は、産業連関表の各段階の生産増加額の合計にすぎず、付加価値や利益の増大を示しているわけではない。雇用についても、一時的な事業に対して、企業が長期雇用を行うとは考えにくい。

  2. (2)再生可能エネルギーの固定価格買取制度
    結晶型太陽電池の技術は汎用化しているため、太陽光の高い買取価格の設定は、安い外国製品の流入を招く可能性が高く、また、日本企業の競争力向上につながるともいえない。さらに、多額のコストをかけて太陽光の導入を進めても、エネルギーの安定供給には程遠い。

■ 政策が陥りがちな三つの罠

このような結果が生じる原因は、三つの課題の同時解決を目指した政策が、次の三つの罠に陥りやすいためである。

  1. (1)同床異夢の罠:
    本来一つの目的で主張すれば実施されない政策が、関係省庁が異なる目的を掲げ同時に主張することで実施に至るものであり、各省庁の単なるもたれ合いになる可能性が高い。

  2. (2)「エネルギー」「環境」というマジックワード:
    「エネルギー」「環境」という言葉は人々に訴える強い力を持つため、企業競争力の向上を通じた長期的な経済発展につながらない政策でも正当化されやすい。

  3. (3)「普及=経済発展」という幻想:
    技術が汎用化した産業の場合、普及(国内市場の拡大)政策は、必ずしも日本企業の競争力を高め、長期的な日本経済の発展をもたらさない。

■ 今後の取り組み

政府による補助金等の政策は、投入した補助金を超える経済的付加価値が長期的に創出され、創出された価値が日本社会に還元されることが前提であり、実際には、政府ができることはあまりない。

企業が事業モデルを構築するうえでは、補助金に頼らないことに加え、地熱を発電のみならず地域暖房に用いる等、資源の多重利用を図ることが必要である。

【環境本部】

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