経団連の観光委員会(大塚陸毅委員長、山口範雄共同委員長)は7月29日、東京・大手町の経団連会館で、高島宗一郎福岡市長・全国クルーズ活性化会議会長との懇談会を開催した。全国クルーズ活性化会議は、全国レベルでクルーズ振興を図るため全国97の自治体によって構成される団体。懇談会には観光委員会委員ら約40名が参加した。
会議の冒頭、大塚委員長は、数千人の観光客を乗せた大型クルーズ船の寄港は経済効果や地域のPR効果も高いことから、アジアの主要港湾で埠頭の整備など受け入れ環境の整備が急ピッチで進められていることを指摘。わが国が大型クルーズ船の寄港を促進し、観光立国の実現と地域経済の活性化を図っていくためには、(1)入国審査手続の大胆な見直し(2)戦略的な港湾整備(3)国を挙げたプロモーションの強化――等、国・地方、経済界など幅広い関係者の連携強化と政治のリーダシップの発揮が求められる、と述べた。
続いて、高島福岡市長・全国クルーズ活性化会議会長が、世界のクルーズ観光の動向を踏まえつつ、クルーズ振興に向けた全国クルーズ活性化会議の活動ならびに福岡市の取り組みについて講演した。
このなかで高島氏は、全国クルーズ活性化会議では、今後確実な拡大が見込まれるアジアのクルーズ需要をわが国に取り込むため、ネットを通じオールジャパンでのポートセールスを行うとともに、国に対して、(1)港湾整備に対する戦略的・重点的な予算確保(2)外国人観光客の入国審査の一層の迅速化(3)海外プロモーションに対する支援――を要望していると紹介。また、福岡市として、東アジアの大都市に近い地理的優位性や釜山への定期航路の存在による充実した入国審査体制、魅力的な観光資源といった独自の強みを活かしつつ、多言語対応のガイドや無料Wi-Fiなどの受け入れ基盤の整備、おもてなしの強化に取り組んでいることを説明した。さらに、「アジアのマーケットが熱いうちに対応を急ぐ必要がある」と述べ、港湾整備などのクルーズ船の受け入れ環境整備に関する国への働きかけについて、経済界の協力を求めた。
その後の懇談では、旅客ターミナルの官民連携による整備の促進策、上陸してからの魅力的な観光プランづくりに向けた広域連携や港湾と周辺各地を結ぶ交通手段の整備などについて意見交換が行われた。
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観光委員会では今後、今回の会合での議論を踏まえつつ、観光立国に資するクルーズ活性化の取り組みを検討していくこととしている。
【産業政策本部】