経団連は7月23日、東京・大手町の経団連会館で、都市・地域政策委員会モデル都市部会(小野澤康夫部会長)を開催し、経団連「未来都市モデルプロジェクト」の進捗について関係企業から報告を受けた。
経団連では2011年3月、民主導による成長を目指すための具体的方策である「未来都市モデルプロジェクト」の構想を取りまとめ、11の都市・地域でその実現に向けて取り組んでいる。同プロジェクトでは、環境・エネルギー、ICT、交通、医療・介護、農業等の重要分野において、企業が持つ優れた技術や人材等を結集して都市で実証実験を行い、日本が抱える社会的課題の解決や魅力的な都市空間の創造、新事業・新産業の創造、海外展開を通じた成長力強化等の実現を目指している。
「未来都市モデルプロジェクト」の発足から2年が経過し、五つの個別プロジェクトで政府の総合特別区域や環境未来都市の認定を受けたほか、実証実験が多数開始されるなど、進捗が見られた。例えば、医療分野では、「福島医療ケアサービス都市」において、遠隔診療等の取り組みが開始されたほか、「柏の葉キャンパスシティ」において、健康管理の見える化に関する実証実験が進められている。また、農業分野では、「西条農業革新都市」において、生産や流通における実証実験が行われているほか、「沖縄物流拠点都市」において、農産物の海外への保冷宅配サービスも開始されようとしている。
さらに、交通を含む環境・エネルギー分野では、「岩手南部循環型バイオマス都市」におけるナノ・カーボン製造技術の開発に加え、「日立市スマート工業都市」「柏の葉キャンパスシティ」「豊田市次世代エネルギー・モビリティ都市」において交通システムや次世代自動車に関する実証実験等が展開されている。加えて「北九州アジア・戦略・環境拠点都市」では、ベトナムで高度浄水処理技術を用いた浄水設備の受注に成功するなど、国際展開に向けた取り組みも進んでいる。
経団連では、今年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」で講じられる施策等も十分に活用しながら、引き続き住民、政府、自治体等との連携により、プロジェクトの推進を図っていく予定である。
【産業政策本部】