経団連は長らく共通番号制度の導入を求めてきた。今般、第183回通常国会において、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)およびその関連法が成立し、5月31日に公布された。
そこで、経団連は7月12日、東京・大手町の経団連会館で共通番号制度(番号法)に関する説明会を開催し、内閣官房の向井治紀内閣審議官から番号制度の概要等について説明を聞き、意見交換を行った。会合には、電子行政、情報通信、税制、社会保障、防災などの委員会から約250名が参加した。
向井審議官の説明概要は次のとおり。
番号制度は、複数の機関に存在する個人の情報から同一人の情報であることの確認を行うための基盤である。2015年秋ごろに個人と法人に番号(個人番号、法人番号)を通知し、2016年1月から、社会保障・税・災害対策の分野で番号の利用を開始するとともに、希望者に電子証明書機能を持つ顔写真付きの個人番号カードを交付する。2017年1月から国の機関間の情報連携が始まり、同年7月からは地方公共団体も含めた行政機関間の情報連携が始まる予定である。
個人番号を利用して行う事務の範囲は法律に明記され、これ以外の利用は原則として禁止される。番号制度導入後も、個人情報は各行政機関が分散して管理し、法で定められた事務や機関に限り、情報提供ネットワークシステムを利用した個人情報の照会・提供を行うことができる。国民は、ポータルサイトで、自分の情報の提供記録を確認することができる。
2014年前半に、内閣府の外局として特定個人情報保護委員会(いわゆる「三条委員会」)が設置され、個人番号や個人情報の取り扱いの監視や監督を行う。
一般の企業は、従業員等の税や社会保険料を給与から徴収する手続きに、個人番号を利用することになり、適切な管理のために必要な措置を講じる義務などが生じる。既存の人事・給与の企業データベース等に個人番号を付加することは目的外利用に当たらないことは、国会答弁でも示されている。
また、法人番号の利用には制限がなく、民間でも自由に利用できる。
<意見交換>
「番号制度が導入された今、行政の無駄を省き、地方公共団体を含む行政の効率化を進める必要がある」「企業の事務の見直しやシステム対応のために、早い段階から具体的な取り扱いについて確認させてほしい」等の意見に対し、向井審議官からは、「遠藤紘一政府CIOを中心に中央省庁の業務改革やシステムの合理化を進めている」「番号の取り扱いについて懸念や疑問があれば、具体的な事例を示して早めに相談していただきたい」との見解が示された。
【産業技術本部】