経団連は11日、東京・大手町の経団連会館で日本ベトナム経済委員会(高橋恭平共同委員長、中村邦晴共同委員長)を開催した。当日は、政策研究大学院大学の大野健一教授と経済産業省アジア大洋州課の相本浩志参事官の両氏からベトナムが進める「工業化戦略」の現状について聞いた。
工業化戦略とは、2020年までにベトナムの工業化・近代化を実現するため、ベトナム政府が戦略的産業の育成を促進するもの。わが国は業種選定段階から支援しており、大野教授は、日ベトナム両国政府が立ち上げた「工業化戦略決定・政策実行作業部会」の日本側部会長を務めている。説明の概要は次のとおり。
工業化戦略策定をめぐり、ヴィン計画投資大臣のもとで、5月に対象業種を(1)農水産品加工(2)電子(3)農業機械(4)造船(5)環境・省エネ(6)自動車の6業種とする旨を明記した「戦略文書」が取りまとめられ、ハイ副首相(工業化戦略ハイレベル委員長)に提出された。現在、副首相の承認を待っている状況である。この間、作業部会では各業種の育成のための行動計画を策定している。各業種の進捗状況は次のとおり。
- (1)農水産品加工=ベトナム農業・農村開発省が対象品目および対象地域を選定中。
- (2)電子=日本側から白物家電、テレビ等、携帯電話等、PCプリンター、再生可能エネルギーの5分野を対象とする行動計画案を提示。
- (3)農業機械=日本側が提示した行動計画案をベトナム商工省が修正中。
- (4)造船=国営造船企業ビナシンの経営再建をめぐる問題解決を待って行動計画を策定予定。
- (5)環境・省エネ=日本側から対象を省エネ、大気・水、固形廃棄物それぞれの上流・中流・下流に絞る案を提示。
- (6)自動車=ベトナム商工省策定の「自動車産業発展戦略およびマスタープラン」と作業部会策定の工業化戦略行動計画の整合性について協議中。
今後、作業部会では、日系企業の対ベトナム投資案件の支援につながる行動計画を策定したい考えである。現在、6分野のうち、特に農水産品加工、電子、環境・省エネ分野で案件を募集している。
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日本ベトナム経済委員会では、工業化戦略の策定状況を踏まえ、7月25日にハノイでベトナム計画投資省と政策対話を開催し、工業化戦略におけるベトナム政府と日本企業との連携について意見交換する予定である。
【国際協力本部】