経団連は10日、安全性の確認された原発の再稼働加速化の観点から、原子力規制委員会が4月10日に公表した原子力発電所の新たな安全基準等(案)に対する意見を提出した。意見の概要は次のとおり。
(1)新基準に対する適合性の審査にあたる人員を拡充すべきである。例えば、原子力規制委員会の技術的支援機関として位置付けられているJNES(原子力安全基盤機構)の人材を積極的に活用すべきである。
審査に安全が確認された原子力発電所は再稼働するという政府の方針が示されているなか、人的資源の制約により再稼働を遅らせるべきではない。JNESは、原子力発電所の安全性に関する知見を有する人材を有しており、新規制基準の適合性審査における活用は、審査の適切性・迅速性の確保に資する。
(2)新規制基準の運用の予見可能性を高めるとともに、審査の効率化を図るため、大飯原発3号機・4号機の新規制基準を踏まえた現状の評価作業の経験を最大限活かすべきである。
例えば、大飯原発3号機・4号機の現状の評価結果を順次公表するとともに、審査対象となる他の原発の施設について、大飯原発と共通性を有する部分については、審査の実効性を確保しつつ、可能な限り作業の短縮を図るべきである。
現在示されている新規制基準(案)には、一般的には抽象的な記載が多く、事業者に求められる具体的対策についての予見可能性に乏しい。例えば、「フィルタ・ベント設備の設置(BWR)」という例示では、「これと同等以上の効果を有する措置」が求められているが、単に対策としての設備名称を示すのみで、設備に求める性能の記載もなく、同等以上が何を意味するか不明確である。
大飯原発での作業の結果を順次公表することにより、新規制基準の運用の予見可能性が高まり、事業者は基準への適合化を適切かつ速やかに行うことができる。
また、他の原発の施設を審査するにあたり、大飯原発と共通性を有する部分について大飯原発での作業結果を活用することにより、審査の効率化・迅速化を図ることができる。
(3)審査対象となる複数の施設等で共通する部分がある場合には、代表する施設等の審査結果を活用することで、審査の効率化に取り組むべきである。
審査の効率化・迅速化により、審査側、事業者側、電力需要家のそれぞれの負担を軽減することができる。
【環境本部】