経団連は2日、環境省が中央環境審議会における検討を経て公表した「第三次循環型社会形成推進基本計画」(案)に対する意見を提出した。基本計画は、循環型社会形成推進基本法により、概ね5年ごとに見直すこととされている。意見の概要は次のとおり。
(1)産業界は、循環型社会の形成に向け、「環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕」を策定し、同計画を推進することで、産業廃棄物の最終処分量を1990年度実績の約10分1にまで減少させた。産業界としては、引き続き主体的かつ積極的に取り組むが、リサイクル等の技術水準のさらなる向上は容易ではなく、現在の法制度の下では、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進は限界に近づいている。
以上のような産業界の実態も踏まえると、政府は、「第三次循環型社会形成推進基本計画」における各指標(資源生産性、循環利用率、最終処分量等)の目標を検討する際、本来であれば、各業界にヒアリングを行うなど、科学的・合理的に根拠を積み上げて目標値を設定すべきであった。しかし、今回設定された目標値は、過去のトレンドの延長線上で設定されており、実現可能性はほとんど考慮されていない。
そこで、各指標の目標達成に向けた進捗状況、取り組み状況等の評価を行う際は、内外の経済情勢やリサイクル技術開発等の動向を十分に勘案すべきである。あわせて、目標達成に向けた環境整備として、合理的な資源循環が行われるよう、法制度の見直し・運用改善等を進めることが求められる。
(2)「資源生産性」(=GDP/天然資源等投入量)については、変動要因が内外の経済情勢、資源価格、為替等多岐にわたり、国民・企業の努力だけで改善できる性質のものではない。
そのため、循環型社会形成推進基本計画のなかで資源生産性を目標として掲げることの妥当性については、今後十分議論する必要がある。また、そもそも日本としての資源戦略は、省庁横断的に検討する必要があり、このための検討体制の構築も今後の課題とすべきである。
(3)PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物については、国民負担の軽減という観点から、安全かつ確実な処理を前提としつつ、リスクを勘案し、合理的かつ効率的な処理を可能とする制度を構築すべきである。
【環境本部】