経団連のヨーロッパ地域委員会(横山進一共同委員長、小林喜光共同委員長)は3月28日、東京・大手町の経団連会館で、外務省の招待により来日したポルトガルのパウロ・ポルタス外務大臣一行との懇談会(座長=横山進一ヨーロッパ地域委員会共同委員長)を開催し、ポルタス外務大臣ならびにペドロ・レイス・ポルトガル投資・貿易振興庁総裁から、同国の経済情勢、投資環境等について聞いた。また、日本側から羽藤秀雄NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)副理事長が、スマートコミュニティ等エネルギー分野におけるポルトガルとの共同プロジェクトを紹介した。
大臣の発言概要は以下のとおり。
■ 両国は長い友好の歴史を共有
20世紀の終わりにインターネットの普及により始まった世界経済のグローバル化は、現在第二段階であり、その第一段階は、ポルトガルが1400年代半ばの大航海時代に開始したものである。ポルトガルは異なる文化を有する相手を尊重し、人的、文化的、経済的な交流によって関係構築を進めてきた。日本を初めて訪問した欧州人は、1543年に種子島に到達したポルトガル人であり、以後470年にわたり、両国は、貿易等を通じて友好関係を育んできた。日本語には「てんぷら」をはじめ、ポルトガル語を語源とする言葉も多く、これは互いが歴史を共有してきた証左である。
■ ポルトガル経済は危機を克服
2年前、世界的な金融・財政危機の影響で、ポルトガルはIMF(国際通貨基金)、ECB(欧州中央銀行)、EU(欧州委員会)に支援を要請せざるを得ない状況に陥った。その後、国民の努力によって支援にかかわる義務を履行し、課せられた目標を着実に達成することで信認を回復しており、過去7回実施されたトロイカ調査団による審査でも前向きな評価を受けている。今やポルトガルは危機を克服しつつあり、アイルランドと共に成功例として高い評価を得ている。
この2年間、ポルトガルは財政再建、公共部門支出の大幅削減、競争力回復に向けた構造改革等を進めてきた。今年1月末には国債発行を再開し、欧州全体の景気後退にもかかわらず、2012年のポルトガルの輸出部門は5.8%増加した。特に非欧州諸国への輸出は19.8%と大幅に伸びており、貿易収支も60年ぶりに黒字化した。対日関係では、ポルトガルにとって、日本は32位の輸出先、21位の輸入元、貿易総額は5億ユーロ未満に過ぎず、まだまだ拡大の余地がある。ポルトガルは日EU経済連携協定(EPA)を支持しており、EPAを通じた日EU関係の強化は双方の経済成長、雇用の創出につながると確信している。
■ 豊富な投資機会を提供
日本との長い友好関係を踏まえ、未来にも目を向けたい。ポルトガルに投資すれば、(1)EUやラテンアメリカ、アフリカ等を結ぶ戦略的なプラットフォーム(2)ポルトガル語圏諸国(CPLP)市場との特別な関係(3)港湾・通信など高度に整備されたインフラ(4)良好なビジネス環境と投資インセンティブ(5)滞在許可と投資を結びつけた「ゴールデンビザ制度」の提供――を約束する。
また、ポルトガルは優れた語学力を持つ有能な人材が豊富であり、歴史、自然、食文化等の面で観光地としての魅力も大きい。日本の投資家にはポルトガル市場のさまざまな投資機会を見てもらいたいと考えており、経団連ミッションをポルトガルに招待したい。
【国際経済本部】