経団連は27日、2012年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」を発表した。主な調査結果のポイントは、(1)全産業平均で夏季・冬季ともに前年を下回った(2)製造業ではほぼすべての業種で前年比マイナスとなる一方、非製造業ではプラスの業種もあるなど、業況の違いが出ている(3)考課査定の幅の設定において10%未満が大きく減り、50%以上の増加が目立つ――などとなっている。
調査結果の概要は次のとおり。
1.賞与・一時金の水準(全産業)
非管理職では、夏季70万4262円(対前年増減率マイナス1.0%)、冬季69万5719円(同マイナス2.2%)、管理職では、夏季141万9271円(同マイナス1.3%)、冬季133万3679円(同マイナス3.0%)であった。多くの企業は、前年の業績を反映して賞与・一時金を決定しており、2012年は、東日本大震災やタイの洪水被害などの影響により悪化した2011年の業績を受けて、非管理職・管理職、夏季・冬季のいずれも3年ぶりに前年比マイナスとなった。
2.産業別の状況(非管理職)
製造業では、ほとんどの業種で夏季・冬季とも対前年比マイナスとなり、平均で夏季は2.2%減の73万8361円、冬季は3.2%減の73万2402円となった。一方、非製造業では、前年比プラスとなった業種もあり、平均で夏季は対前年比0.8%増の66万599円、冬季は0.8%減の65万301円となった。
3.配分割合
賞与・一時金の1人当たりの配分比率については、非管理職・管理職とも、1990年代前半から「定率分」が減少する一方、「考課査定分」が上昇している。近年は非管理職では「定率分」が4割強(2012年調査43.8%)、「考課査定分」が約3割(同32.4%)、管理職では「定率分」が3割弱(同25.5%)、「考課査定分」が約5割(同51.9%)で推移しており、2012年もこの傾向に大きな変化はみられない。
4.考課査定の幅
標準者を0とした考課査定の幅は近年、広く設定される傾向にある。非管理職・管理職とも10%未満とする割合が大きく減少する一方、50%以上とする割合の増加が目立っており、2012年の非管理職ではより顕著になっている。
具体的には、査定幅の「最高と最低の幅が同じ場合」では、プラスマイナス10%未満は前年に比べて4.7%ポイント減の16.7%であるのに対し、プラスマイナス50%以上は3.3%ポイント増の16.7%であった。「最高と最低の幅が異なる場合」でも、最高幅10%未満は前年比6.0%ポイント減の2.1%、最低幅10%未満は2.6%ポイント減の10.3%と、いずれも減少した。最高幅・最低幅50%以上は前年と比べて微減したものの、いずれも高い割合(最高幅24.7%、最低幅27.8%)を維持している。
5年前の2007年を比較すると、非管理職・管理職とも、考課査定幅が広く設定されている状況がさらに明確に表れている。
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同調査は、賞与・一時金の支給実態を把握し、今後の賃金対策の参考にするために1953年から毎年実施している。今回は、経団連の企業会員および東京経営者協会会員企業1912社を対象に調査を行い、255社(製造業56.9%、非製造業43.1%、従業員500人以上規模78.4%)から回答を得た。
【労働政策本部】