経団連は5日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)を開催し、駐日韓国大使館のキム・ボヨプ参事官(教育科学担当)から、韓国政府のグローバル人材育成政策の動向について説明を聞いた。
■ 急増する双方向の留学生交流
冒頭、キム参事官は、「1997年のアジア通貨危機でIMF管理下に入ったことをきっかけに韓国経済は急速にグローバル化し、学生も世界に目を向けるようになった。これに伴い、韓国人学生の海外留学は2006年の19万人から2011年には29万人に、また外国人留学生の韓国留学も同期間に3万2千人から8万9千人に急増している」と述べた。また、学生や社会人の間で、ビジネスで活躍するためには英語力が不可欠との認識が広がり、韓国人のTOEFLの成績も大幅に向上、「2010年には香港と並ぶようになった」と説明した。その背景には、「韓国政府のグローバル人材育成政策があった」と指摘し、特に外国人留学生の韓国留学については、「2020年までに20万人の外国人留学生を韓国に誘致することを目標に、留学フェアの開催や韓国留学総合システム(ワンストップ・システム)を通じた留学情報の提供、優秀な留学生を留学させている大学に対する政府の認証制度の実施、学生寮や保険など留学生の生活環境づくりや就職活動への支援などの施策を積極的に展開している」と述べた。
■ 韓国の大学国際化への取り組み
韓国の大学の国際化に向けては、(1)「CAMPUS in Asia事業」に基づく韓日中の3カ国の大学間の学生交流プログラムの実施(2)複数領域の学問を融合して新しい知識基盤サービスや産業の創出が期待できる分野で、海外の優秀な研究者を韓国の大学に招聘して世界レベルの研究大学を目指す「WCU(World Class University)事業」(3)グローバルな産業界のニーズや技術変化に対応できるグローバル職業教育をリードする専門大学を育成するため、産業界出身の教員により現場中心の教育カリキュラムを提供する専門大学を対象とした「WCC(World Class College)事業」――などを実施しているとの説明があった。
■ 英語教育への取り組み
英語教育に関しては、「1997年から小学校3、4年生は週2時間、5、6年生は週3時間の英語が必修化され、また中高では英語でコミュニケーションが出来る力をつけることを重視し、週1時間以上の英会話の授業が実施されている」との説明があった。また、英語教師の専門性を高めるため、国立の教員養成大学へのネイティブ・スピーカー講師の配置や英語教員の採用過程での英語面接の実施のほか、英語教師向けの実践型研修として、「毎年、180名程度を対象に、国内で3カ月の研修後、海外で3カ月間、外国人教師と一緒に実際に英語で授業を行う研修も行っている」との紹介があった。
さらに、「TOEFLやTOEICに代わり4分野(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)の英語力を評価する試験として、韓国政府は独自に国家英語能力評価試験(National English Ability Test、NEAT)を新たに開発し、韓国の大学入試センター試験の英語試験にこれを活用することも検討している」との説明があった。
【社会広報本部】