経団連は2月25日、都内で甘利明内閣府特命担当大臣(経済財政政策)との懇談会を開催した。内閣府からは甘利大臣のほか、西村康稔副大臣、山際大志郎大臣政務官らが、経団連からは米倉弘昌会長、渡文明審議員会議長をはじめ副会長、審議員会副議長らが出席した。
冒頭、米倉会長は、安倍政権の発足以降、円高の是正や株価の上昇が続き、企業を取り巻く事業環境にも明るい兆しが見えていることを評価。今後は、政治の強いリーダーシップの下、成長戦略の早期実行やTPPをはじめとする経済連携協定の推進などを通じて、景気回復を確実なものとしていくことを強く求めた。
続いて甘利大臣からは、「長引く円高・デフレから脱却し、わが国経済を民主導の持続的な成長経路に乗せることは安倍政権の至上命題であり、金融政策、財政政策、成長戦略を三位一体ととらえ、今までにない取り組みを行っていく」「産業競争力会議の場で官民の英知を結集し、成長戦略を策定する」「先般の日米首脳会談(2月22日)での共同声明を踏まえ、政府・与党、さらには与野党間で、最も国益にかなうTPPのあり方を目指す」との発言があった。
続く懇談では、経団連側から、(1)今後の経済運営に関する経団連の基本的考え方(小島順彦副会長)(2)TPPをはじめとする経済連携協定の推進(勝俣宣夫副会長)(3)財政再建に向けた取り組み(石原邦夫副会長)(4)電子行政の推進(渡辺捷昭副会長)――の4点について発言があった。
これらの発言を受け甘利大臣は、今後の経済運営に関して、企業の自由な活動を妨げる障害を、政府が強い意志をもって取り除き、経済の持続的成長に結び付くような規制改革を進めていくことを強調した。また、法人税については、当面、研究開発減税や設備投資減税、人材投資減税など、競争力強化に資する税制措置を深掘りすることで、経済成長を後押ししていくとの考えを示した。
経済連携に関しては、TPP交渉のなかで規定されるルールが将来のFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)におけるルール形成にも大きな影響を与える可能性があることを指摘し、日本が交渉におけるルールづくりに関わることができるよう、政府としても早期のTPP交渉参加に向け、与党内・与野党間の調整を進めていくと述べた。また、経団連に対して、交渉参加に向けた政府の取り組みの後押しを要請した。
財政再建への取り組みについては、短期的には財政出動を成長の起爆剤と位置付ける一方で、中長期的には財政健全化を目指し、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字額(対GDP比)の2015年度までの半減(対2010年度比)、2020年度までの黒字化を目標として掲げていくことを強調した。さらに、一般会計における最大の支出項目が社会保障関係費であることを指摘し、さまざまな制度やツールを活用しながら、社会保障制度の質の確保を図りつつ、持続可能性の向上を探っていくべきとの見解を示した。
電子行政の推進については、まずは政府CIO(内閣情報政策監)の権限を定めた政府CIO法案と、社会保障・税番号制度法案について国会での早期成立に向けて努力し、電子行政への取り組みを加速していくとの決意を示した。
【経済政策本部】