経団連は2月28日、都内で日本商工会議所とともに、アジア大洋州地域31名の在外公館代表と外務省幹部を招き、同地域との経済関係深化をめぐり意見交換を行った。
岡村正日商会頭の開会あいさつに続き、杉山晋輔外務省アジア大洋州局長は、「安倍政権の基本的な政策はデフレ脱却と日本経済再生にあり、これを実現するため外交面では、(1)日米同盟再構築(2)近隣諸国(主にアジア大洋州)との関係強化(3)経済外交の積極的推進――が柱となっている。これに則り、日本企業の経済活動を全面的に支援したい」とあいさつした。
続いて木寺昌人中国大使、別所浩郎韓国大使から、両国の新政権はいずれも対日関係改善に期待を示しているとの説明があった。沼田幹男ミャンマー大使は、ミャンマー政府の日本経済界に対する期待は頂点に達していると述べ、3月中旬に投資環境整備のための官民対話が発足する見通しであると述べた。谷崎泰明ベトナム大使は、引き続き日越共同イニシアティブを活用し投資環境整備に取り組みたいと述べた。
続く意見交換では、渡文明審議委員会議長が、インドネシアのインフラ案件の推進には円借款の執行の迅速化と国際協力機構の海外投融資の全面的な活用が重要であると指摘した。また、日中韓FTA交渉に関する川村隆副会長の質問に対して、別所韓国大使から、近々本交渉を行う見通しであり、これに関連して日本政府は5月中の日中韓首脳会議開催を提案しているとの説明があった。大塚陸毅副会長は、わが国在外公館の対日観光促進に対する一層の期待を表明した。さらに、ミャンマーのダウェイ開発について、佐藤重和タイ大使が、当面はティラワ開発に資源を投入し、ダウェイは中長期的課題として取り組みたいと述べた。
閉会あいさつで米倉会長は、会談を総括して、わが国がTPP(環太平洋経済連携協定)、日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携への取り組みを通じて、アジア大洋州の自由貿易地域の構築に主導的な役割を果たすべきと述べた。また、経団連としても、2月のメコンミッションの成果を踏まえ、訪問国であるミャンマー、カンボジア等の途上国のインフラ整備、人材育成、産業発展等に貢献したいと述べた。最後に、中国、韓国との関係改善については、政府に対して粘り強い対話と外交努力を要望するとともに、民間交流や草の根の交流を積み重ねたいと述べ、締めくくった。
【国際協力本部】