経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で金融制度委員会(奥正之委員長)を開催した。当日は、金融庁の河野正道国際政策統括官から、国際金融規制改革を中心とした最近の金融庁の取り組みについて聞き、意見交換を行った。講演の概要は次のとおり。
■ 世界的な金融市場の混乱と対応
サブプライムローンの問題に端を発した金融危機により、欧州等の一部の国で顕在化したソブリンリスクへの対応が迫られている。欧州債務危機は、ECB(欧州中央銀行)の政策によって足元ではやや落ち着きを見せているが、まだ不透明な状況が続くことが予想される。日本経済にとっても、欧州経済の安定化は極めて重要であるため、各国に引き続き政策努力を求めている。
■ 国際金融規制改革
金融危機を防止するための国際的な取り組みとしては、G20首脳会合の基本方針にもとづき、各国金融当局のトップによって構成されるFSB(金融安定理事会)が、BCBS(バーゼル銀行監督委員会)、IOSCO(証券監督者国際機構、代表理事会議長=河野金融庁国際政策統括官)、IAIS(保険監督者国際機構)と連携して、各種施策の実現を図っている。
当面の課題は、国際的に活動する銀行の自己資本の質・量の向上等を目的とするバーゼルIIIの導入、システム上重要な金融機関の破たん予防と処理の枠組みの構築、シャドーバンキングに対する規制・監視のあり方の検討、店頭デリバティブ市場改革等である。
これらの規制の枠組みの整備を通じて金融システムの安定を確保し、持続的な経済成長の礎としたい。金融システムの強化を図る際には、実体経済への影響にも十分配慮し、両者の適切なバランスを保つことが重要であると考えている。
■ 日本再生戦略(アジア関連)
アジア諸国の市場や金融業の対外開放を求めつつ、わが国資本市場制度の普及を進め、2020年までにアジアのメーンマーケットとしての地位を確立することを目指している。すでにアジア諸国に対して、一定の規制緩和や技術協力を行っているが、官民ラウンドテーブルでの議論を通じて民間の声も反映させながら、さらに働きかけを行っていく。
■ 国際会計基準
国際会計基準(IFRS)の導入については、日本では引き続き、連単分離や中小企業へはIFRSを適用しないこと等の対応を前提に、わが国の会計基準のあり方を踏まえ、最もふさわしい対応を模索していく。また、国際会計基準の開発においては、国際的な連携も念頭に置きつつ、わが国の考え方を率直に意見発信していくべきである。
【経済基盤本部】