経団連は7、8の両日、東京・大手町の経団連会館で、ブラジル全国工業連盟(CNI)と第15回日本ブラジル経済合同委員会を開催した(日本側議長=飯島彰己日本ブラジル経済委員長、ブラジル側議長=マスカレーニャス・CNIブラジル日本経済委員長)。日伯双方の経済界から250名以上が出席した。また、来賓としてピメンテル開発商工大臣、アナスタジア・ミナスジェライス州知事、コロンボ・サンタカタリナ州知事、ガウヴォン駐日ブラジル大使、日本政府から近藤洋介経済産業副大臣が出席した。
5セッションで討議
冒頭、ピメンテル開発商工大臣から、日伯経済関係は、日系移民をはじめとする人的絆がしっかりしていることなどに支えられて伝統的に良好であり、人材育成や技術移転を伴う日本からの投資に期待するとの発言があった。個別テーマを扱う五つのセッションでは次のような討議があった。
(1)人的交流の拡大
両国から強く要望されている日伯間直行便の就航について、日本側から具体的検討が進んでいるとの報告があった。また、双方から人的交流を円滑化するうえで、ビザの円滑な発給が重要であるとの指摘があった。
(2)天然資源・エネルギー
ブラジル側から、資源開発のために人材育成をはじめとする日本企業の技術協力に期待が示された。これに対し、日本側から、海洋資源開発等における両国協力を紹介し、その強化を図ることが必要であるとの認識で一致した。
(3)インフラおよびファイナンス
ブラジル側からリオデジャネイロ―サンパウロ間の高速鉄道をはじめとする、経済成長に伴い増大しているブラジルの大型インフラ整備はビジネスチャンスとなっていると説明があり、日本の資金と技術への期待が表明された。また、具体的なプロジェクトの推進にあたっては、事業性・採算性の確保、PPP(官民連携)スキームによる官民間での適切なリスク分担が必要であるとの認識で一致した。
(4)農業開発、スマート・シティー、省エネ等
ブラジル側から農業分野での日伯協力の成功事例であるセラード開発と、その経験を活かした第三国協力の成功事例であるモザンビークの熱帯サバンナ開発について報告があった。また、日本側からスマート・シティー等、わが国の先端技術による協力事例が紹介された。
(5)科学技術とイノベーション
双方からブラジルの成長戦略に不可欠なイノベーションを生みだすための取り組みや、iPS細胞樹立に寄与したわが国の研究開発支援制度、水処理技術に関する官民の取り組みが紹介され、イノベーション創出に向けた協力関係強化の重要性が確認された。
次回会合は来年後半をめどにブラジルで開催する予定。
【国際協力本部】