経団連は20日、「新たな宇宙基本計画に向けた提言」を公表した。今年7月に内閣府に宇宙戦略室が発足し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の見直しが行われるなど、宇宙政策に関する政府の推進体制が整備された。今後政府は、2013年度以降の5年間を対象とする新たな宇宙基本計画を策定する。こうした進展を踏まえ、産業界の考えを取りまとめた。概要は次のとおり。
■ 新たな宇宙基本計画の意義
第一に、今年6月の内閣府設置法とJAXA法改正によりJAXAが取り組めるようになった、宇宙産業の振興および安全保障分野における宇宙開発利用の推進について、宇宙基本計画の最重要項目と位置付けるべきである。
第二に、衛星やロケットなどで構成される宇宙インフラの構築と維持は国の責務である。また、安全・安心の確保などに向けた宇宙利用を推進すべきである。
第三に、宇宙外交を推進し、発展途上国に技術支援を行うとともに、先進国とは共同プロジェクトを実施すべきである。
■ 重要分野における推進方策
重要分野における推進方策として、第一に、衛星やロケットの長期間調達の確立や技術開発等による宇宙産業の基盤整備が求められる。第二に、衛星のデータを継続的に利用できるようにするなど宇宙利用を開拓すべきである。第三に、厳しい国際情勢を踏まえ、安全保障分野における宇宙利用を推進すべきである。第四に、東日本大震災の被害を踏まえ、衛星を用いた防災・減災インフラの構築が求められる。
■ 推進体制の強化
政府においては、新たな宇宙基本計画の着実な実施に向け、宇宙開発戦略本部が司令塔機能を発揮して、関係省庁の施策の総合調整や適正予算の確保を図ることが求められる。JAXAについては、産業振興や安全保障分野への取り組みのための中期目標と中期計画を策定し、着実に実施すべきである。また、官民が連携を強化して研究開発や利用を推進するとともに、宇宙システムのパッケージインフラの輸出に取り組むべきである。
あわせて、宇宙関連法制の整備や宇宙産業における人材育成が求められる。
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【産業技術本部】