経団連の防災に関する委員会(橋本孝之共同委員長、柄澤康喜共同委員長)は10月30日、東京・大手町の経団連会館で、東京都の宮嵜泰樹危機管理監、村松明典総務局総合防災部長、内閣府(防災)の藤山秀章参事官を招き、首都直下地震発生時の帰宅困難者対策に関する意見交換会を開催した。
■ 説明「帰宅困難者対策」
冒頭、宮嵜危機管理監は、東京都を中心とする首都圏は、わが国経済の中枢を担っており、都市の魅力を高めるためにも、さらなる防災対策の推進が必要であると指摘した。
また、東日本大震災で自衛隊を指揮した自らの経験を踏まえ、地震発生後72時間は被災者の人命救助を最優先する必要があり、行政機関は救命救助活動に集中する必要があると述べた。さらに、首都直下地震では膨大な火災被害が発生するため、二次被害拡大防止の観点から、一斉帰宅の抑制等の帰宅困難者対策が重要であるとした。
このような観点にもとづき、宮嵜危機管理監は地震発生後の「公助」には限界があることから、とりわけ帰宅困難者対策については、「自助」「共助」による積極的な取り組みが必要であると説明した。
その後、村松総合防災部長から、内閣府・東京都主催の首都直下地震帰宅困難者等対策協議会(共同座長=原田保夫内閣府政策統括官、猪瀬直樹東京都副知事)が、今年9月に取りまとめた「最終報告」(注1)の概要、および来年4月に施行される東京都の「帰宅困難者対策条例」(注2)に関する説明が行われた。
(注1)最終報告の詳細はホームページを参照
(URL=http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/taisaku_syuto/kitaku/kitaku_kyougi_top.html)
(注2)東京都帰宅困難者対策条例の詳細はホームページを参照
(URL=http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/kitakutaisaku.html)
官民連携による取り組み推進へ
<意見交換>
意見交換において、橋本委員長は、「自助」の重要性に鑑みて、会合参加者に対し、社員やグループ企業等に帰宅困難者対策の重要性を周知し、備蓄や訓練など平時からの取り組みに努めるよう促した。また、行政に対し、官民の連携による取り組みを一層推進するために、大規模訓練の実施、行政からの支援の拡充、協定書式の標準化などを要望した。
これを受けて行政側は、「組織横断的な大規模訓練については、今年2月と9月に実施している。今後も、訓練の反省を踏まえて、実効性の向上を図りながら、継続的に実施していきたいと考えているので、企業・経済界の協力をお願いしたい」「帰宅困難者対策にかかる行政の支援の重要性は十分に認識しており、具体的な支援内容を今後検討していきたい」と応じた。
◇◇◇
首都直下地震発生時の帰宅困難者対策については、官民の連携により、「自助」「共助」の観点による取り組みを着実に進めていく必要がある。防災に関する委員会では引き続き、帰宅困難者対策も含めた、企業の防災・減災対策の実効性向上に資する検討を進めていく。
【政治社会本部】