経団連は19日、東京・大手町の経団連会館で、政府が実施している、「大学の国際化と国際的に活躍できる人材育成のための事業」(大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業、グローバル30)において拠点大学として採択された13大学との共催で、一昨年、昨年に引き続き「第3回グローバル30産学連携フォーラム」を開催した。当日は「社会のグローバル化と国際人材の育成」をテーマに、大学関係者、企業関係者、留学生支援機関代表など325名が参加して活発な意見交換を行った。
岩波・教育問題委員会企画部会長が基調講演
まず、名古屋大学の渡辺芳人理事・副総長の開会あいさつ、文部科学省の山野智寛審議官の来賓あいさつに続いて、岩波利光経団連教育問題委員会企画部会長から、グローバル人材の育成に向けた産業界の取り組みに関する基調講演があった。
岩波部会長は、「急速に進む少子高齢化や国内市場の縮小、新興国との競争激化など日本経済をめぐる内外の環境変化に伴い、企業のグローバル人材への期待は高まっているが、日本企業による海外留学経験者や外国人留学生の採用はまだまだ少数にとどまっている」ことを指摘し、「採用比率をさらに高めるためには留学生の母数を増やすとともに、企業が期待する素質を持った人材を育成していくことが不可欠」と述べた。また、グローバル人材育成に向けて大学に期待する取り組みとしては、「リベラルアーツ教育の拡充や、答えのない問題に取り組む力を身につける」ことを挙げ、そのためには「知識の量だけでなく、知識の活用力や思考力、判断力も評価できるよう、大学入試のあり方を検討する必要がある」と述べた。
また、東京大学が提案した秋入学やギャップ・タームについては、「グローバル化への対応やタフな人材の育成に向けて、大学自らが改革にチャレンジする意志を示したもの」として評価するとともに、「採用時期の多様化やギャップ・タームの導入に伴う諸課題などには、経済界としても協力する」と述べた。一方、「秋入学やギャップ・タームだけですべてが解決するものではない」ことを指摘し、あらためて大学教育の質保証や国際化、情報公開等の継続的取り組みを求めた。
フォーラムでは引き続き、二つの分科会に分かれて、大学の国際化とグローバル人材の育成に向けた取り組みについて企業代表、留学経験者、大学関係者等によるパネル討議が行われた。
最後に、大阪大学の高橋明理事・副学長があいさつし、経済界とグローバル30の採択13大学がグローバル人材育成のために引き続き協力していくことを確認して閉会した。
【社会広報本部】