経団連の日本ロシア経済委員会(岡素之委員長)は11日、都内で、訪日中のナルィシュキン・ロシア連邦国家院議長との懇談会を開催し、ナルィシュキン議長や同行した国家院議員から、経済をはじめとする幅広い分野における二国間関係強化に向けた展望、日本企業への期待、ビジネス環境改善に向けた取り組み等について話を聞くとともに意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。
多様な分野における二国間交流を推進
ロシアは日本との二国間関係を重視している。昨年の東日本大震災を受けて、ロシアは救助隊の派遣やLNG輸出の拡大など、日本に対してできる限りの支援を行った。こうした連携の結果、日ロ関係に開かれた環境が構築されたと考えている。また、これまでの政府間協議や議員交流などによって、例えば査証簡素化協定の署名や、ロシアの地方との協力強化など重要な進展がもたらされた。
両国の間には、経済や政治、文化、人道などあらゆる分野における関係拡大に向けて、多くの機会が存在している。困難な課題はあるものの、日本はロシアの善隣のパートナーであり、今後とも二国間交流を積極的に推進していきたい。
二国間貿易投資の一層の拡大を志向
最近、自動車分野などで日本企業の対ロシア投資が活発であると認識している。また、昨年の両国間の貿易高は、2008年の経済危機前の水準に戻り、300億ドル超を記録した。今後は、ロシアの資源・エネルギーの対日輸出、日本の工業製品の対ロ輸出に加えて、ハイテク分野に重点を置き、貿易を一層拡大していきたい。これに関連し、「ロシアの経済近代化に関する日露経済諮問会議」の活動に期待している。
ロシア首脳部は、連邦レベルで承認された発展プログラムに基づき、極東シベリア地域の開発を促進する方針である。これを着実に遂行するために、新政権の下、極東発展省が設置された。広大な極東シベリア地域には、石油、天然ガス、木材をはじめ多くの資源が賦存しており、油田・ガス田を日ロが共同で開発することによって、日本のエネルギー供給元の多様化に貢献できる。また、同地域の広大な未開拓の土地を活用し、農業分野で協力することも可能である。さらに、各種の大規模開発計画への日本企業の参画は、双方に利益をもたらすことを強調したい。
円滑な企業活動のためのビジネス環境整備を加速
多くの日本企業が、ロシアにおけるビジネス活動に豊富な経験を有している。国家院としては、こうした企業の活動を一層円滑化するために、ビジネス環境の整備・改善に鋭意取り組んでいる。最近では税関法、少数株主の権利保護法、移民管理政策に関する法律を採択した。こうした取り組みを継続し、日本との経済関係を一層発展させていきたい。
【国際経済本部】