経団連は3月21日、在日米国商工会議所(ACCJ)と米国情報技術産業協会(ITI)との共催により、東京・大手町の経団連会館でインターネットエコノミーに関するシンポジウムを開催した。同シンポジウムは、日米政府による政策協力対話(第3回局長級会合)が東京で開催されるのを機に、日米産業界としてインターネットをさらに活用していくうえでの共通の課題や懸念に関し連携を深めるべく開催したものである。企業、政府関係者を含め、約250人が参加した。
シンポジウムには、バービーア米国国務省大使、利根川一総務省情報通信国際戦略局長が来賓として出席。経団連からは渡辺捷昭副会長をはじめ、電子行政推進委員会の秋草直之共同委員長、情報通信委員会の清田瞭共同委員長らが出席した。
冒頭、主催者あいさつとして渡辺副会長から、「大震災を乗り越え、災害にも強いまちづくりを進めるとともに、少子高齢化やエネルギー・環境問題などの課題解決に取り組み、新たな飛躍をするにはインターネットが大きな力を発揮する」など、インターネットのさらなる発展と豊かな社会の実現に向け同シンポジウムが果たす役割への期待が述べられた。
来賓のバービーア大使は、「クラウドサービスを支障なく提供できるようにするため、規制緩和など必要な施策を考えていきたい。サイバーセキュリティーは日米だけでなく世界が共通して取り組むべき重要な問題である。東日本大震災からの復旧・復興にICTが果たした役割を世界で共有していきたい」と述べた。
続いて来賓の利根川局長からは、「ICT産業は日本の全産業の名目国内生産額合計の約1割を占める重要な産業である」「ICTの進展により生成・収集・蓄積などが可能・容易になる多種多様なデータ『ビッグデータ』の公共分野やビジネスへの活用を積極的に推進する」「今年1月に、『日米ICTサービス通商原則』に合意した。これは両国における規制の透明性やオープンなネットワークの維持、国境を越えた自由な情報流通の確保等の環境整備など、ICTサービス分野における貿易の促進にかかる理念をまとめたものである。今後は第三国への働きかけによりグローバルなICTサービス市場の発展に貢献したい」といった考えが示された。
このほか、日米産業界のトップによるプレゼンテーションが行われた。米国側はマイクロソフト、グーグル、AT&Tならびにセールスフォース・ドットコムが参加し、日本政府への期待などを表明した。日本側からは日本電信電話の片山泰祥常務取締役ならびに経団連電子行政推進委員会の秋草共同委員長がそれぞれ「東日本大震災を踏まえた被災時の情報流通手段の確保」「公的部門のICTの利活用」をテーマに発表した。
最後にACCJを代表してインテルコーポレーションの吉田和正副社長が、「ICTを利活用して社会的課題を解決し、人々の暮らしを豊かにしていくため、日米の産業界と政府が協力して取り組むことが求められる」と総括した。
【産業技術本部】