子どもたちの明るい未来のために今
「日本にとって人こそ資源であり、人を育てることが大事」と聞いて、異を唱える人はまずいないだろう。イノベーションを起こし、グローバルに活躍できる人材を輩出するためにも、幅広く質の高い教育を受けた厚みある層が存在し続けることが重要である。
「日本にとって人こそ資源であり、人を育てることが大事」と聞いて、異を唱える人はまずいないだろう。イノベーションを起こし、グローバルに活躍できる人材を輩出するためにも、幅広く質の高い教育を受けた厚みある層が存在し続けることが重要である。
健康経営をはじめとしてヘルスケア分野に対する注目が高まるなか、今年6月に閣議決定した「未来投資戦略2017」には、保険者や経営者によるデータを活用した個人の予防・健康づくりを強化するための施策が盛り込まれた。従業員の健康増進は、生産性向上、競争力強化など多くのメリットを企業にもたらす。他方、ヘルスケア産業は今後の成長分野として期待が集まっている。そこで、健康経営の重要性と推進の意義や効果について、またヘルスケア産業の振興による国民全体の健康増進について、それぞれの企業の取り組みや政府の施策動向等を踏まえて議論する。
伊藤雅俊(経団連審議員会副議長/味の素会長)
従業員が健康に働くことと企業の成長は一体である。当社の「行動規範」において「従業員が健やかに働けるように、健康状態を把握し、健康の維持・管理の取り組みを行う」ことを明示している。具体的な取り組みとして、約4000人の従業員に対して、100%の実施率で個別面談を行うなど、「働きがい」を実感してもらうよう努めている。また、食品産業もヘルスケア産業の一部であると考え、「おいしさ」にこだわった健康食品の開発・普及に注力している。
翁 百合(日本総合研究所副理事長)
未来投資会議の構造改革推進徹底会合の議論では「医療・介護分野においてパラダイムシフトを起こしていく」という考え方のもと、医療・介護の軸足を「健康管理と病気・介護予防」「自立支援」に移すことを掲げている。その鍵となるのがデータの活用・分析であり、国民一人ひとりの健康医療関連データが一元的に管理される基盤整備が不可欠である。健康経営の普及、ヘルスケア産業の振興は、健康長寿、医療保険財政健全化などにより、国民の「将来不安」解消にも貢献し、日本の経済成長に大きく寄与すると期待している。
鈴木伸弥(経団連社会保障委員長/明治安田生命保険会長)
健康経営は、企業には生産性向上や健康保険財政の健全化などのメリットがある。また、従業員の健康増進を通じ、社会保障費の伸びを抑制し、国家財政を持続可能なものとする面で企業は一定の貢献ができる。当社は、特に、生活習慣病、メンタルヘルス、女性の健康管理への取り組みを強化している。また、ベンチャー企業と共同で中小企業向けの健康支援プログラムを開発し、提供を始めた。高齢者データは日本の財産ともいえ、これを活用できる優秀な人材をヘルスケア分野に振り向けていく仕組みが必要だ。
古井祐司(自治医科大学客員教授)
この40年間で会社員の平均年齢が7歳上昇し、職場における病気の発症率・死亡率は2倍に高まるなか、従業員の健康に投資する企業としない企業の差が顕在化してきている。企業には、経営トップのリーダーシップのもと、健康経営に取り組むことが求められる。一方、健保組合等のデータヘルス活用によって、職場の健康状況を構造化でき、打つべき対策がわかりやすくなる。データヘルスを活用し、各社および従業員個々の健康状態を「見える化」することで、健康に対する感度が高まっていくことが期待される。
井上 隆(司会:経団連常務理事)
次世代ヘルスケア産業の創造に向けて
大串正樹(経済産業大臣政務官)
健康づくり推進へ
―保険者と企業の連携を強化
大塚陸毅(健康保険組合連合会会長)
健康増進に向けた日本医師会の取り組み
横倉義武(日本医師会長)
生涯現役社会と健康経営
―労働生産性の視点から
松田晋哉(産業医科大学医学部公衆衛生学教室教授)
市民の健康増進と新たな産業創出
―健康寿命延伸都市・松本の実現に向けて
菅谷 昭(松本市長)
健康長寿日本一への挑戦
―静岡県の取り組み
山口重則(静岡県健康福祉部長)
DBJ健康経営格付融資を通じて見えてきた「健康経営」の今とこれから
中澤伸一(日本政策投資銀行サステナビリティ企画部健康経営格付主幹)
産業保健活動の徹底を通じ社員に寄り添った健康経営を目指す
―東京ガスの取り組み
中島 功(東京ガス常務執行役員)
健康は安全の基盤
―JR東日本における健康経営の取り組み
石川明彦(東日本旅客鉄道常務取締役)
健康経営を通じた勝つための人材戦略
―最少人数で最大の成果を生み出す
垣見俊之(伊藤忠商事人事・総務部長)
【提言】
新たな海洋基本計画の策定に向けた提言
―Society 5.0時代の海洋政策
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/054.html
山内隆司(経団連副会長・海洋開発推進委員長/大成建設会長)
日本との経済連携強化を目指す欧州
―南欧スペイン、北欧ノルウェーを訪問して
佐藤義雄(経団連ヨーロッパ地域委員長/住友生命保険会長)
第106回ILO総会に出席して
―移民労働、労働における基本的原則と権利等について政労使で議論
得丸 洋(経団連雇用政策委員会国際労働部会長/三井化学参与)
日本のエネルギー情勢の現状と課題 (3)
24時間休むことなく“電気の品質”を維持するために
―電力の安定供給とは
(電気事業連合会)
あの時、あの言葉
面壁九年
小倉 忠(ノリタケカンパニーリミテド社長)
Essay「時の調べ」
思い出の1局
羽生善治(将棋棋士)