1997年11月28日
(社)経済団体連合会
現在のわが国経済は、減速感を強めている。その理由の一つに、最近の相次ぐ金融機関の破綻とこれに伴う金融システムに対する不安感の増幅がある。現状を放置すれば、金融ビッグバンへの対応が遅れるばかりか、わが国経済の将来に重大な影響を及ぼす。
金融システムの維持・安定は、内外からの信用を確保するとともに、当面の景気回復、経済構造改革の促進と持続的な経済発展を着実なものにするための喫緊の課題である。
経団連では、いわゆる奉加帳方式に基づく処理に限界があることから、既に95年7月、不良債権処理のための財政資金の導入を提言しており、ここにあらためて財政資金の導入を求めるものである。
財政資金導入の目的は、金融機関の救済ではなく、預金者を保護し、金融システムを維持することにある。
破綻金融機関の処理により預金保険料を上回る処理コストが生じた場合には、財政資金を導入する。
保険・証券についても、預金保険制度に準じた枠組みを整備し、財政資金導入のあり方を早急に検討する。
財政資金導入にはいくつかの手法があるが、その一つとして、預金保険機構内の「一般金融機関特別勘定」が日銀・民間金融機関から行う借入に政府保証を付けることが考えられる。その場合、金融機関救済ではなく破綻処理のための資金であることを明確にするため、区分経理する。
また、整理回収銀行について、信組に加え一般金融機関の破綻処理も行えるよう、業務範囲・人員を拡充・強化する。
財政資金が導入された際には、以下の点を求めるものとする。
長引く不良債権問題が今回の金融システム不安の根本的な原因となっている。金融機関においては、国民の理解を得るため、一層のディスクロージャーと経営合理化に努め、不良債権の処理を早急に進めるべきである。
同時に、政府においては、土地流動化のための諸施策を早急に実行に移すべきである。