1997年7月22日
(社)経済団体連合会
国が行う統計調査は、わが国経済社会の実態を的確に把え、また、その結果を、利用者にタイムリーかつ使いやすい形で提供されなければならない。同時に、統計調査は、報告者に過大な負担を強いることなく、効率的な行政組織の下で実施される必要がある。
こうした観点からわが国の統計調査を検証すると、次のような問題がある。
そこで、経団連では、統計システムの抜本改革について検討を進め、本年秋にもその具体策を提言する予定であるが、行政改革会議の審議に反映させるため、統計行政の組織改革に関する部分につき先行的に検討を進め、今般、下記の考えをとりまとめた。なお、我々が考える組織改革後の統計行政の姿は別紙資料の通りである。
記
行政改革会議が5月の「中間整理」で中央省庁再編のあり方を示したように、各省の設置法を見直し、中央省庁は統計調査の企画・立案、総合調整に特化し、統計調査実施機能は外庁に分離する。
統計調査の企画・立案については、各省庁が有する知識・経験を活かし、行政上のニーズを的確に反映させるため、各省庁が行う。
管理・集計等共通事務の重複を排し、省庁間に偏在する統計職員を有効活用するため、外庁として「統計庁(仮称)」を創設し、統計調査の実施を集中化する。
「統計庁(仮称)」は、
企画・立案を分散型とする場合、調査項目の重複排除などの効率化、報告負担軽減のためには強力な総合調整機能が不可欠となる。そこで、統計調査の総合調整部門(現在は総務庁統計局統計基準部)を、総理府に代わって新設する「内閣府(仮称)」に移管し、統計・情報局統計審査部(仮称)を設置する。
内閣府統計・情報局統計審査部は、次の3つの業務を行うこととし、その旨内閣府設置法に明記するとともに、同じく内閣府の統計・情報局に設置する行政記録管理部(仮称、行政記録の管理を行う)と共同で、統計調査及び行政記録にかかる報告者負担総量を管理するための手法を出来るだけ早期に開発する。
各省庁は年度初めに次年度の統計調査の企画案を統計・情報局統計審査部に提出する。統計・情報局統計審査部は、この統計調査の企画案を審査し、調査項目の重複排除等必要な措置を講じるとともに、必要性の薄れた統計調査を廃止・縮小する。
原則として統計調査の実施に関する予算を統合管理する。
統計データ及び許認可、法律等に基づく行政記録は、税金を用いて収集された国民の間で共有すべき貴重な情報である。統計審査部は行政記録管理部との協力の下、省庁間のみならず、国民、企業間においても、これら情報を共有できるよう、統計データ及び行政記録(有価証券報告書等)の利用を積極的に推進していく。また、統計審査部は地方公共団体との統計データ及び行政記録(固定資産課税台帳等)の共有化を図っていく。その場合、各省共通のネットワークの早急な構築が望まれる。
報告者負担の軽減、統計データの利用拡大、経済・社会の変化にあわせた統計整備の観点にバランスよく配慮した真に効率的な統計システムの確立を目指し、統計審議会の組織改革を行う。
なお、統計の総合調整部門を内閣府に移管したことに伴い、統計審議会は内閣府に置くこととする。
報告者代表委員を追加し、行政機関、学者等に偏った委員構成を改めて、統計調査の効率化を推進する。
米国の例を参考に報告負担を時間で換算する「報告時間」の概念を開発するなど、行政が実施する統計調査の費用対効果を分析する手法を研究する部会を新設する。
以 上