[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

新内閣に望む

2008年8月4日
(社)日本経済団体連合会

わが国を取り巻く環境は極めて厳しい状況にある。地球環境問題はもちろん、食料や原燃料価格の高騰、不安定な国際金融情勢など世界共通の課題が山積し、WTO交渉も暗礁に乗り上げた。国内的にも少子化・高齢化の加速や社会保障制度の持続可能性への疑問などが行く手に立ちはだかっている。

しかし、危機は好機でもある。わが国が先陣を切って難題を克服することができれば、一段の競争優位を確立し、成長力を高めることが可能となる。実行すべき改革は、すでに明白である。新内閣が「現下の経済情勢を打開するための緊急提言(7月30日)」に真摯に対応するとともに、以下の課題に全力を挙げて取り組むことを強く望む。

その際、政治的に困難な状況ではあるが、改革の必要性について国民の理解を得るためにも、国民本位・国益優先の観点からの野党との緊密な対話と積極的な政策論争を期待する。

  1. 1.消費税を含む税制抜本改革、財政健全化、社会保障制度改革、少子化対策を一体的に実行し、国民に将来への安心感を与える。
  2. 2.企業活動を取り巻く制度環境を国際的に整合させるなど、競争基盤を整える。
  3. 3.戦略的な資源外交を行うとともに、農業を活性化して競争力を強化し、エネルギーの安全保障や食料の安定確保を図る。
  4. 4.低炭素社会の実現に向けて、革新的な環境・エネルギー技術の開発・普及を促進し、地球温暖化防止のための国際的な枠組み作りをリードする。
  5. 5.優秀な人材の育成や企業活動を円滑化するためのインフラ整備を通じて国内の産業基盤を維持・強化し、イノベーションを生み出す技術力の強化を図る。
  6. 6.最先端の電子行政・電子社会の実現によって社会全体の効率性・生産性を向上させる。
  7. 7.道州制の導入促進などにより、地域の活力で日本全体の豊かさを向上させる。
  8. 8.欧米を含めた経済連携協定の拡大や深化、WTOドーハラウンド交渉の打開、途上国への戦略的な国際協力の展開などを通じて世界経済の進展に寄与する。
以上

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