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日加経済連携強化に向けて ―共同研究終了後の方向性に関する考え方―

【 概要 】

2006年4月6日
日本経団連カナダ委員会

注)2006年11月に開始された日加経済枠組のもと、2006年秋までを目処に、日加政府間において、貿易・投資とその他の協力の促進に関する共同研究が進められている。本報告書は、同共同研究終了後に両国がとるべき方向性を提言するもの。

I 総論(共同研究終了後にとるべき方向性と必要な枠組)

日加経済関係は欧米やアジアとの貿易・投資関係に比較して低水準にあるが、質の高い労働力と技術、豊富な資源を有するカナダとの経済連携強化には十分な意義がある。

経済界にとって重要または解決が可能な課題を早急に解決するため、ビジネス環境の整備(日加規制改革対話の創設、租税条約の改正、協力案件の推進等)を先行して進めるべきである。物品の貿易の促進に関しては、センシティブ品目の存在、WTO新ラウンド交渉による自由化の進展、カナダと他国とのFTA/EPA締結状況を考慮しつつ、将来的に、FTA/EPAの締結の可能性を含め、検討を進めるべきである。

このような観点から、日加経済枠組の中で2006年秋までを目処に進められている政府間共同研究終了後は、「貿易投資の促進に向けた環境整備に関する協定」の締結交渉を開始することが考えられる。

同協定には、官民でFTAのメリット・デメリットを含む貿易投資の自由化に関する日加間の検討会合を定期的に開催すること、投資協定(サービス分野の自由化を含む)、規制改革・税制改正に関する検討の促進、基準の相互認証、協力案件の推進等、個別の案件の促進を盛り込むこととする。

カナダと韓国等とのFTAの締結等の状況変化に鑑み、カナダ市場においてわが国の競争条件の不利な状態を是正することが急務であり、日加双方に全体としてメリットが大きいと判断された場合には、日加間のFTA/EPAの締結交渉の開始に向けて、協議を開始すべきである。

II 各論(両国の経済連携強化に向けて検討すべき課題)

1.企業活動に支障となっている両国の関税の例

カナダ:乗用車・貨物自動車(6.1%)、鉄道用車輪(9.5%)、映画用フィルム(6.5%)、磁器製碍子(3.0%)
日本:SPF製材(4.8%)ほか

2.両国の国内規制改革の推進に向けて

(1)必要な枠組
日加投資協定(サービス貿易の自由化を含む)の締結
日加規制改革対話の創設、税制改正に関する財務省間対話の創設

(2)カナダで規制改革を要する内容
連邦と州との規制の調和、会社法国籍要件の撤廃、金融・保険サービスの自由化、基準の共通化・相互認証、行政手続の円滑化、ビザ発給手続きの簡素化及び有効期限延長ほか

3.経済連携強化に向けた相互の協力に関する日本側の関心分野

エネルギー・天然資源、観光促進、投資促進、鉄道・港湾整備ほか

以上

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