2003年10月31日 (社)日本経済団体連合会 情報通信委員会 通信・放送政策部会 情報通信ワーキング・グループ |
日本経団連としては、技術の進歩や市場ニーズの変化に対応して、電気通信機器を迅速かつ低コストで市場に投入できるよう、製造業者等が認証機関の審査を経ることなく、技術基準への適合を自ら宣言することのできる制度の導入を求めてきた。*1そうした経済界の要望を受け、今般、電気通信事業法が改正され、端末機器の技術基準適合性を自ら確認する制度が新設されたことは評価できる。
しかしながら、製造業者等の国際競争力向上など所期の目的を実現するためには、製造業者等の自己責任をより重視した制度とすることが肝要である。そのような観点から、今般公表された標記省令案*2に対しコメントする。
なお、特定無線設備の技術基準適合証明に関する省令案については、先月、以下とほぼ同趣旨のコメント*3を総務省に提出したところである。
総務省ホームページ http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/031010_3.html |
技術基準適合自己確認の対象となる特定端末機器について、「電気通信回線設備を利用する他の利用者の通信に著しく妨害を与えるおそれがあるものとして、総務大臣が別に告示で定めるものを除く」とされているが、登録認定機関による認定等の対象となる端末機器全てを基本的に自己確認の対象とすべきである。告示に基づき特定端末機器から除かれる端末機器については、その理由を客観的なデータに基づいて示されたい。
登録認定機関による技術基準適合認定等を受けた者は、認定を受けた日等から起算して十年を経過するまでの間、名称、住所、代表者の氏名等に変更があった場合、変更した事項および年月日を記載した届出書を総務大臣に提出しなければならないとされているが、登記簿等により容易に確認が可能な事項については、変更届出の対象から除くべきである。
検査記録の保存期間を10年間としていることの合理的な根拠を示されたい。
なお、電気通信事業法改正前においては、製造業者等に対し検査記録の作成等の義務は課されておらず、同義務を定めた改正電気通信事業法の規定は撤廃すべきであると考える。
なお、自己責任の重視という観点から、そもそも届出は不要であり、それを定めた改正電気通信事業法の規定は撤廃すべきである。また、自己確認を行う製造業者等が検証・検査を行うことは当然としても、それはあくまで自己責任に基づき行うべきものであると考える。
*1 |
例えば、 「2002年度日本経団連規制改革要望」の10(19) (2002年10月、http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2002/062/10.pdf) 「総務省『端末機器及び特定無線設備の基準認証制度に関する研究会』報告書案に対する意見」 (2002年11月、http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2002/074.html) を参照。 |
*2 | http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/031010_3.html |
*3 |
「特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の全部を改正する省令案に対するコメント」 (2003年9月8日、http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/089.html) なお、「2003年度日本経団連規制改革要望」の「10.情報・通信分野」の(14)〜(16)では、技術基準適合自己確認制度の改善など改正後の電気通信事業法および電波法に関する規制改革を要望(2003年10月、http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/098.html)。 |