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国境を越えたモノ、サービス、情報、人の流れが活発化するなかで、自由、無差別を原則とするWTO体制は、世界経済の福利向上に多大な貢献をしてきた。特に、WTOにおける一層の自由化、ルールの強化・整備、WTO紛争処理機能による司法的紛争解決は、国境を越えた経済活動の安定性、予見性を確保する上で極めて重要となっている。
日本経団連は、2001年11月に開催されたWTOカタール閣僚会議において、WTO新ラウンド、いわゆる「DDA(Doha Development Agenda)」が立ち上がったことを歓迎している。我々は、新ラウンドが立ち上がる直前の2001年10月にWTOにミッションを派遣し、WTO事務局ならびにWTO加盟国代表と意見交換を行った。その際、日本の産業界が新ラウンド交渉に求める7つの優先課題(ビルトインアジェンダの統合、鉱工業品の関税引き下げ、国際投資ルールの構築、アンチダンピング協定の見直し、電子商取引の発展促進、貿易円滑化の促進、知的財産権の保護強化)を紹介し、その実現を求めた。閣僚宣言で、それらの要望の多くが取り上げられ、幅広い分野の交渉となったことを、特に高く評価したい。
他方、今次交渉においては、開発の観点から途上国のニーズに十分に配慮していくことが極めて重要であると理解する。ウルグアイ・ラウンド合意の実施は、WTOの信頼性を維持する上でも先進国、途上国を問わず極めて重要である。その際、途上国に対してはキャパシティ・ビルディングならびに技術協力等を通じて充分な支援を行っていくことが重要である。我が国企業としては、DDAを通じてWTOが健全な世界経済の発展に寄与することを期待する。
日本経団連では、DDAが2005年1月1日ま釈�蓿繙就�粮㏍芍��轣蛹≒鳫�笏蜿遐�竚癈鷭∂焜聨纃瘟赧漓�籬�㏍聽轣蛹就抗盞箚盞筝箜矮痰縺粐⊂桿轣蛹Γ蔚飴頏阡繝�籟鹿畩�暴�襪垢襪海箸鰺徊召垢襦�8紊癲�胴餬从冀賃里範�箸鮨泙蠅弔帖▲咼献優后Ε灰潺絅縫謄�寮爾鮃④���掘�从儚Δ領�譴�蕋庁庁釈�蓿繙就�粮㏍芍��轣蛹≒鳫�笏蜿遐�竚癈鷭∂焜聨纃瘟赧漓�籬�㏍聽轣蛹就恰桁奄訓傑臼扱感⊂桿轣蛹Γ蔚飴頏阡繝�籟鹿畩に向けて協力していく所存である。
以下は、新ラウンドの立ち上がりを受けて、交渉で議論が行われている個別項目について現状評価ならびに要望を取りまとめたものである。
2000年に開始されたサービス貿易交渉が新ラウンド交渉に統合されたことを歓迎する。加盟国がイニシャル・リクエストを提出し、交渉は実質的な分野別自由化交渉へと移行している。我が国企業は、2003年3月31日までに予定通り各国がイニシャル・オファーを提出し、本格的なリクエスト・オファー交渉が開始されることを期待している。
サービス貿易の発展は、高付加価値化が進む世界経済全体にとって不可欠である。サービス貿易自由化交昭�蓿繙就�粮㏍芍��轣蛹≒鳫�笏蜿遐�竚癈鷭∂焜聨纃瘟赧漓�籬�㏍聽轣蛹就粤香聲弘劫羂繝慌⊂桿轣蛹Γ蔚飴頏阡繝�籟鹿畩が各国のサービス・セクターの発展に寄与することを期待する。日本経団連は、通商交渉におけるサービス貿易自由化の重要性に鑑み、1999年にJSN(Japan Services Network)を設立し、WTOサービス貿易自由化交渉の進展を支持してきた。今次サービス貿易交渉を通じて、先進国と途上国の両者がサービス貿易自由化のメリットを享受できるようになることを期待する。
(1)横断的分野
今次サービス交渉では、特に以下の2点を重視している。
人の移動
人材のグローバル・コンペティション時代が到来した今日、人の移動の自由化・円滑化は企業にとって極めて重要な課題となっている。特に、我が国企業は、(a) 企業内移動 #1、(b) 教育訓練及び能力開発を目的とする企業内移動、(c) 高度な技術・専門知識を有する人材の契約ベースの移動に関心を有している。WTO新ラウンドにおいて、上記にあげた人の移動に関して、第一に各国の約束表改善、第二に入国・滞在関連規制の透明性の確保、第三に入国・滞在関連手続の簡素化・迅速化が実現することを期待する(詳細は、「WTOサービス貿易自由化交渉 人の移動に関する提言」を参照のこと)。
#1 「企業内移動」とは、本社、海外の支社・支店、子会社、関連会社間における人の一時的移動と解釈する。 |
国内規制の透明性
日本経団連が1999年から毎年実施しているサービス貿易に関する国別アンケートでは、ほとんど全ての分野に共通して、企業が国内規制の恣意的な運用、突然の変更、免許要件・手続の不透明性・不合理性等の問題に直面していることが明らかになっている。
国内規制作業部会では、これまでGATS第6条4項の規定に基づき国内規制の透明性について議論を行ってきたが、議論に進展が見られないことは非常に残念である。今次交渉を通じて各国が新たな約束を行っても、国内規制の不透明な運用が温存される限り実質的な自由化には結びつかないことから、交渉では、具体的な障害事例を題材としてGATS第6条4項に基づいた規律作成を急ぐべきである。日本経団連は、加盟国の発展段階に応じた透明性向上に向けた3つのステップを提案する。
WTO加盟国は、国内規制の透明性を確保することは、長期的には民間の活力を促し、あらゆるビジネスの拡大に結びつくものである点に着目すべきである。一方、各国の行政上の負担を考慮し、途上国が国内規制の整備ならびに透明性向上に努めることができるよう、交渉と並行してキャパシティ・ビルディングを行っていくことも重要である。
なお、国内規制の必要性に関しては、国内規制作業部会の作業を通じて「必要以上に負担とならない」や「必要以上に貿易制限的とならない」といった概念が明確化され、各国の制度整備に反映されることを期待する。
(2)分野別自由化
分野別のリクエスト・オファー交渉では、(a) 外資出資比率の制限、(b) 役員・従業員の国籍・居住要件、(c) 国外への送金規制、(d) パフォーマンス要求(技術移転等)、(e) 資材・サービスの国内調達義務といった加盟国の制限が交渉を通じて除去され、市場アクセスが改善されることを強く希望する。日本経団連は、我が国のイニシャル・リクエスト策定にあたり、我が国政府に幅広い分野(実務サービス(特にコンピュータ関連サービス)、通信サービス、建設サービス及び関連のエンジニアリングサービス、流通サービス、環境サービス、金融サービス、運送サービス、エネルギー・サービス等)を対象とした自由化要望を提出した。リクエスト・オファー交渉を通じてこれらの要望が実現することを期待している。
(3)その他
緊急セーフガードに関して交渉が行われているが、我が国企業としては、サービス分野におけるセーフガード措置の必要性は感じていない。
他方、途上国がセーフガードを国内産業への急激な影響を緩和するための緊急的措置として必要としていることも理解する。ルールを設ける場合は、恣意的な発動がなされないような明確で客観的なルールとすること、第3モードのセーフガードを除外することを希望する。
日本経団連が8月に実施した、鉱工業品の関税・非関税障壁に関するアンケート調査では、136社から1000件以上にわたる回答があり、先進国・発展途上国ともに未だ多く残されている高関税品目、多様な非関税障壁の削減・撤廃が急務であることが明らかとなった。
WTO新ラウンド交渉においては、非農産品市場アクセス交渉グループにおいて交渉が進められており、わが国が8月に包括的なペーパーを提出した他、EU、ニュージーランド、米国等がペーパーを提出している。
自由な輸出入を通じた効率的な資源配分、自由な貿易を通じた経済発展の促進を可能とするため、残る鉱工業品の関税・非関税障壁の大幅な削減を求める。
わが国を含む欧米先進諸国は、一部のセンシティブな品目を除いて、関税率をゼロ譲許すべきである。特に、10%以上の高関税品目(例:米国の商用車・繊維製品、EUのAV機器・自動車)については、ゼロ譲許を含む大幅な削減に合意すべきである。また、日本政府が提唱している家電、ゴム・同製品等の分野別のゼロゼロを歓迎する。残存する非関税障壁についても、できる限り撤廃し、内外企業による自由なビジネス活動を保障すべきである。
発展途上国は、まず関税の譲許率(HSコードのカバー率)を100%にまで引き上げるべきである。関税の削減・撤廃は望ましいが、各国の経済発展段階や社会政策に配慮する必要がある。他方、ビジネスに係る規制や手続の不透明性、不安定性の是正は強く求められる。
情報通信関連製品については、ITA(情報技術協定)加盟国の拡大と同時に、フラット・パネル・ディスプレー式カラーテレビ等のデジタル家電を含む全てのエレクトロニクス製品を含む幅広い品目について関税撤廃を目指すべきである。
また、化学ハーモ(日本を含む34加盟国が化学製品に関する関税削減のスケジュールを定めた合意)の加盟国の拡大、ニューサンス・タリフ(例えば5%以下の低関税率)の撤廃も求める。
今後、来年5月末のモダリティ合意に向けて、交渉を加速させる必要がある。
現在まで多国間を包括する投資ルールは存在しない。他方、近年、二国間投資協定(2000年末で1941件)、投資分野を含む自由貿易協定が急増している。わが国経済界は、国際投資ルールの構築を最重要課題と位置付けている。
WTO交渉においては、2003年9月の第5回閣僚会議での全加盟国の合意を経て本交渉が開始されることとなっている。現在は作業部会において、ドーハ閣僚宣言に沿った項目ごとに検討が進められている。
わが国が、3回の作業部会にわたってペーパーを提出した他、EU、韓国、台湾、カナダ、メキシコ等がペーパーを提出し積極的に議論に参加している。
作業部会における議論を受け、次回の第五回閣僚会議において全加盟国のコンセンサスの下、本交渉が開始されることを強く求める。投資ルールは、途上国の開発政策に十分配慮しつつ、わが国経済界にとって優先度の高い「透明性」及び途上国に受け入れ可能な「自由化」に重点を置いた協定を検討すべきである。
投資については、GATS(モード3)がサービス産業による直接投資を規定していることに配慮しつつ、統一的な産業分類を設定した上で、非サービス産業分野へのGATSの自由化方式導入の可能性について検討すべきである。
具体的に協定に盛り込まれるべきであると考える項目は以下の通り。
また、WTO加盟国の8割を占める途上国の参加を促すためには、資金面及び人材面からキャパシティ・ビルディングに取り組む必要がある。
今後、来年9月の閣僚会議において本交渉が開始し、交渉の不可欠な一部として統合されることを強く求める(詳細は、日本経団連提言「国際投資ルールの構築と国内投資環境の整備を求める」(2002年7月)を参照のこと)。
AD措置は、近年、その発動件数の増加とともに、使用国や対象国の多様化が進展している。加えて、一部の先進国及び発展途上国による保護主義的な発動の濫用も目立っている。こうしたなか、安定的な国際通商システムの維持に向け、AD協定の規律強化に向けたWTO交渉が行なわれている。
ルール交渉グループでは、5月の会合においてわが国を含む14カ国の共同ペーパー、7月の会合においてわが国を含む13カ国の共同ペーパーが提出され、計23項目について問題提起があった。また、インド、ブラジル、カナダ、EC等も提案を提出している。
共同ペーパーは、多くの問題点を明らかにしており、高く評価できる。提示されている23の問題の全てに関しては、協定の改訂を通じた是正を強く求める。
AD措置の乱用によって被害を被るのは、被提訴者とその国の関連業界ばかりでなく、輸入国のユーザー産業や消費者であるという複眼的な視点に立った議論が行われることを期待する。
わが国経済界は、本交渉において、AD協定の基本的な枠組みを維持することを前提としつつも、AD措置が最恵国待遇の例外として認められている主旨に鑑み、合理性、公正性及び適正手続きを確保する規律の強化及び明確化を求める。具体的には、共同ペーパーに例示されている全ての項目を含め、ダンピングの決定(AD協定2条)、損害の決定(同3条)、調査手続き(同5条・6条)、価格約束(同8条)、AD税の賦課・徴収(同9条)、AD措置のレビュー関係(同11条)、紛争解決(同17条)等について、広範な見直しが行われることを求めるものである。今までに提出されたペーパーでは言及されていない項目例では (1)産業確立の遅延、(2)暫定措置の行使タイミング、(3)セーフガード調査との関係に関するルールの明確化等がある。今後、こうした項目についても議論、交渉が行なわれることを要望する。
来年春までを目処に、各国が具体的な協定文の改訂を求める提案を提出し、交渉を加速させる必要がある(詳細は、「UNICEペーパーへの経団連暫定コメント」(2001年4月)、経団連提言「WTO新ラウンド交渉立ち上げにあたっての基本的立場」(2001年7月)を参照のこと)。
IT・電子商取引関連分野は、インターネットとITとを活用した新しいサービスの登場、ソフトウエアのダウンロード利用の普及、ネットワークを活用した国際的なオンライン取引の定着など世界的規模で著しい発展を見せている。健全なIT・電子商取引の発展を促す上で、国際的な自由貿易の促進を目指すDDAが果たす役割は極めて大きい。ITAなどの関税引き下げ交渉、サービス貿易自由化交渉、非関税障壁の除去、国際的な基準認証などのルールの調和、さらにはTRIPS交渉等を通じて、最恵国待遇、内国民待遇、知的財産権保護などのWTO原則が徹底され、民間主導による国際的に自由な経済活動が実現することを希望する。さらに、WTOをはじめとする国際機関が国際的なビジネスの発展を阻害しかねない動き(例えば当分野に係わる規制措置の導入や強化の検討)を抑制するために連携を行っていくことが、今後益々重要となってくるものと認識する。
IT・電子商取引関連分野では、(a) 貿易上のソフトウエアの取り扱いをどうするか(注:デジタル化された財、サービスやダウンロードソフトウエアなどが典型的な例)、(b) 今後ますます進展が予想されるITやe-commerce関連において、新たに登場してくるビジネス(注:財およびサービスの両面あり)についてのマーケットアクセスや内国民待遇などの確保をどのように実現するか、の二点が当面の課題となっている。こうした認識のもとで以下を要望する。
#2 1996年のシンガポール閣僚会議で決定されたIT関連製品を対象とした関税削減協定。 |
世界的規模で生産の分業化が進むなか、貿易の円滑化は、製造業を中心に我が国企業にとって極めて重要な事項となっている。特に、煩雑で時間がかかる通関手続、不確実な関税還付制度等の問題の早期解決が求められる。このようななか、ドーハ閣僚会議において、殆ど全てのWTO加盟国が貿易円滑化の利益について理解を示していたにも係らず、貿易円滑化に関する基本的ルールの策定開始について合意が得られなかったことは、極めて残念である。
貿易手続の簡素化・調和化・IT化の促進は、ビジネス界の貿易関係手続に関する負担を軽減するだけでなく、各国政府の行政効率の向上に繋がる。次回閣僚会議でルール策定交渉の開始が合意され、DDAで貿易円滑化に関する基本的ルールが策定されることを強く期待する。ルール策定にあたっては、税関手続を含む貿易手続を幅広く対象とし、WTO協定(例えばGATT第5条、第8条、第10条)に含まれる透明性、正当性、予見可能性、最小規制、無差別などの基本原則に基づいたものとすべきである。
ビジネス界にとって真に意味のある貿易円滑化を実現するためには、途上国の制度整備ならびに制度運用の環境整備が不可欠であることから、貿易円滑化に関するキャパシティ・ビルディングを他の関連国際機関(UNCTAD、世銀、IMF、WCO)と連携しつつ行っていくことが重要である。
ドーハ閣僚会議では、貿易と環境について (1)WTOルールとMEAsの「特定の貿易上の義務(specific trade obligations)」との関係の整理、(2)WTO事務局とMEAs事務局の情報交換手続、(3)環境関連の製品・サ-ビスの自由化について交渉を行うことが決定されたが、我が国経済界はこれらの交渉に関心を有している。
環境関連の製品・サ-ビスの自由化交渉は、これまで我が国企業が培った技術を提供する機会の拡大を促すものであり、交昭�蓿繙就�粮㏍芍��轣蛹≒鳫�笏蜿遐�竚癈鷭∂焜聨纃瘟赧漓�籬�㏍聽轣蛹就姐岩俄慣換卸鰍患⊂桿轣蛹Γ蔚飴頏阡繝�籟鹿畩を期待している。また、WTOルールとMEAsの「特定の貿易上の義務(specific trade obligations)」との関係については、交渉の進展を注意深くフォローしていきたい。国際的にコンセンサスを得たMEAs(例えばモントリオール議定書、バーゼル条約、ワシントン条約等)に基づく貿易制限措置は、WTO上も認められるべきである。
我が国経済界は、これまで持続可能な発展を目指し、地球環境問題にも真摯に取り組んできた。環境の貿易的側面についても、我が国経済界として検討を行っていく予定である。
企業活動のグローバル化に伴い、知的財産を化体した商品及びサービスが世界貿易に占める割合が高まっている。途上国における知的財産権保護制度の整備は、健全な貿易秩序を維持する上で不可欠である。
TRIPS協定は、開発途上国及び市場経済移行国については2000年1月、後発開発途上国については2006年1月までの経過期間を規定している。2000年1月に経過期間を終了した開発途上国及び市場経済移行国については、TRIPSに関連する国内制度の円滑な実施に努めることを要望する。また、新たにWTOに加盟した国のTRIPSの遵守については、定期的にレビューを行い、加盟国間で現況認識を共有することが望まれる。
知的財産権の知見を有する先進国は、途上国の関連法制および執行体制、国民への啓蒙・教育に関する支援を強化することが必要である。また、WTOに対しては、WIPO等の関係機関と協力しつつ、開発途上国及び後発開発途上国、更にはWTO加盟申請国のTRIPS実施を支援するためのキャパシティ・ビルディングに力を入れることを期待する。
日本経団連は、今までのところ、WTO交渉(市場アクセス、国内助成、輸出補助金)に対応した詳細な検討は行っていないが、わが国政府は、まず国内農政改革を通じた競争力の強化を目指すべきである。こうした農政改革を通じて、価格支持政策の廃止による国内助成の大幅な削減とともに、中期的には多くの品目において関税の削減・撤廃が可能になる。また、輸入国側の義務と同時に、輸出規制に関する制限など輸出国側の義務についての議論が進展することを期待している(詳細は、経団連(当時)提言「戦略的な通商政策の策定と実施を求める」(2001年6月)を参照のこと)。
我が国産業界は、DDAが拡大する世界貿易の健全な発展に質することを期待している。交渉にあたっては、WTO加盟国が、自由な発想に基づいた新たな経済発展の芽を蒔き、経済のダイナミズムを生み出す原動力となっている民間セクターの役割を認識し、交渉を行っていくことを希望する。また、先進国だけでなく、市場経済移行国、開発途上国、後発開発途上国等、WTOを構成する全ての加盟国が成果を享受できるよう関係各国が協力していくことを強く要望する。
我が国産業界としても、今次ミッションの成果を十分に活用し、DDAの成功に向けて国内の各方面に働きかける等、引き続き鋭意、協力していく所存である。
さらに、持続可能な発展ならびに貧困の削減などWTOが取り組んでいくべき課題についても、我が国経済界がこれまで培った民間の知見・ノウハウを活用し、積極的に貢献していきたい。