自主協定検討会報告書に対する経団連コメント
第7回国内制度小委員会に提出予定の資料
(別紙3)
第5回会合提出資料に関するその他の指摘 |
上図:総エネルギー消費量に占める電力の比率が低い建設業、工業、水産業、農林業に比べ、電力がエネルギーの多くの部分を占める製造業において、電力の排出原単位の影響が大きく現れるのは至極当然である。
下表:CO2排出量の試算が定量的に行われているが、排熱回収を含む自家発はどのように評価されているのか。もし総合エネルギー統計の下段(消費部分)のみによる評価であれば、省エネルギー対策において重要な部分を占める「排熱回収」が評価されておらず、誤った評価である。
「IIPあたりのCO2排出原単位、エネルギー消費原単位は増加しており、自主努力による改善は見られない」との評価は、極めて短絡的かつ偏向した評価である。
「IIPあたりの原単位」の持つ下記のような特性を認識した上で、産業界の省エネルギー努力をきちんと評価すべきである。
「IIPあたりの原単位」は、多種多様な生産物について統一的に評価する上で便利な指標であるが、エネルギー消費とは必ずしもリンクしない指標であることを認識すべきである。
省エネルギーに対する「自主努力」が及ばない範囲で、90→98年の間に原単位を悪化させる要因があることを認識すべきである。
「製造業の現場の省エネルギー」の手法としては、(1)工程の直結化等による製造エネルギー投入量の削減と、(2)廃エネルギー/ロスの回収に大別される。70年代の省エネルギーは、生産ラインの直結化や連続化など(連続鋳造、連続焼鈍等)、主として消費エネルギーの削減に帰する対策が行われてきた。80年代に入ると生産ラインの効率化に加えて、排熱回収発電など主として廃エネルギー回収を手段とした省エネが進められ、80年代末には、高効率生産ライン、排熱回収設備共に、多の先進国を遙かに凌駕する設備装備力を有するに至った。90年代に入ると、排熱回収の強化や自家発の高効率更新などが行われるようになってきた。
ところが総合エネルギー統計上、排熱回収発電や自家発の効率改善は、「エネルギー転換部門」に計上されるため、ここでの評価から外されている。
鉄鋼とほぼ同様であるが、特に販価低減によるIIPの減少影響がより顕著
国内の素材産業を中心とする産業界は、第一次石油危機以降、エネルギーコスト削減/エネルギーセキュリティーの確保等の観点から積極的な省エネルギー対策を実施してきており、80年代までに主要な対策はやり尽くしてきた。90年以降は、技術的、経済的に可能な対策箇所が殆ど残されていない中での省エネの推進と、それを上回る製品高付加価値化や環境対策の充実等による増エネとの相殺された結果であり、省エネの取り組みは不断に行われている。