情報化や少子・高齢化の進展などわが国を取り巻く環境が厳しさを増す中で、経済成長の原動力であるイノベーションを加速化していくためには、雇用・労働分野の改革を通じた人材の適材適所が不可欠である。
かかる観点から、近年、わが国においては、職業安定法、労働者派遣法、労働基準法など雇用・労働関連の主要な法律が改正されてきたが、以下の通り、現下の構造変化にそぐわない制度が未だ散見される。
このような状況を放置すれば、少子・高齢化の進展に伴い労働力人口が減少していくなかで、個人は能力発揮の機会が妨げられ、経瑳齔瘤�竚癈鷭∂焜聨纃瘟赧漓�籬�㏍聽轣蛹就甓羈絏吾絛高⊂桿轣蛹Γ蔚飴頏阡繝�籟鹿齔瘤召鮴�鵑垢誚釮譴垢蕕△襦�泙拭�柩僖灰好箸両緇困�蕁�覿箸力��精廚慮座爐鮠靴①△�┐辰銅唆箸鯀�腓気擦襪箸い��屬眈畦茲靴�佑覆ぁ�
雇用・労働システムの再構築を目指し、時代先取り型の前向きな制度改革に取り組むことが求められる。
少子高齢化の進展、経済社会構造の変化に対応して、公的年金制度を持続可能な制度へと再構築する必要があり、その一環として、本年3月、厚生年金の給付水準の適正化や支給開始年齢の引上げ等を内容とする年金制度改正が行なわれた。今後は、公的年金だけでなく、国民の自助努力による私的年金の充実を通じて、老後生活の安定を確保していくことが不可欠である。
このような観点から、企業年金制度についても、労使合意に基づく自由な制度設計・運用を認め、労使の協調による自助努力を促していく必要がある。とりわけ、グローバルな競争の進展に対応して、企業は組織再編の動きを活発化させているが、現状では、企業年金制度間の移行に関する法制・税制上のルールが未整備であり、このままでは、企業組織再編の足かせとなることが懸念される。したがって、労使合意を基本に、企業年金制度間の円滑な移行を可能にすべきである。
また、来年3月からの退職給付会計導入を控え、企業は年金財政の健全化を急いでおり、これを促進するような規制改革が望まれる。
医療費の増加を抑制し、医療保険財政を健全化させるとともに、国民の多様なニーズにきめ細かく対応した医療・介護サービスの提供を可能とするため、健全な競争原理が働くようにしなければならない。
また、医療提供者と患者、保険者(企業、健保組合)との間に情報の非対称性が存在し、利用者の側のチェックが働いてこなかったという問題がある。医療機関の経営に多様な事業者の参入を認め、利用者の選択肢拡大を図るとともに、医療に関する情報開示を促進し、利用者が適切なサービスを効率的に提供できる事業者を選択できるようにする必要がある。
本年4月に、介護保険制度が施行され、部分的にではあるが「選択・契約・競争」の理念が導入されたことにより、高齢者の多様なニーズへの対応が可能となった。引き続き、施設介護サービスにおける民間事業者の参入等を進めることによって、サービスの質の一層の向上、コスト合理化を可能とする必要がある。
活力に富み、豊かで魅力ある日本を築くためには、自己責任に基づき主体的に行動する創造的な人材の育成が急務である。経団連では、この認識の下に、誰もが自分の目標を実現する上で相応しい教育や進路を選択でき、その能力を最大限に発揮できる人材育成システムの実現を求めて、教育分野における規制改革を要望してきた。これらに関しては、文部省の審議会等から各種答申が出されるとともに、教員資格、学校選択における弾力化等、逐次具体化されつつある。
一方、グローバル化、高度情報化等、わが国の経済社会を取り巻く環境は急速に変化しており、新たに総理の私的諮問機関である教育改革国民会議が設置され、現在、21世紀にふさわしい教育のあり方が検討されている。
そこで、今般、経団連会員企業からの要望を踏まえて、改めて教育分野における規制改革を要望する。
我が国流通産業の効率化・高度化を進めるとともに、消費者利便の向上や選択肢の拡大、並びに、事業者の創意工夫の発揮や過度の負担の軽減等の観点から、経団連では各事業分野で行われてきた需給調整的な参入・設備規制の撤廃、参入を抑制するとともに事業者に過度の負担を課してきた設備や資格者の必置規制の合理化、各種許認可手続きの簡素・合理化等を従前より要望してきた。また、近年の流通構造の変化等に対応した各種業法における規制の見直しについても要望してきたところである。これらについては、政府における2次にわたる規制緩和推進計画の策定や規制改革委員会の取組み等を通じて見直しが進められ、一定の前進が見られることろである。
とは言え、残された課題も少なくない。例えば、需給調整規制については、規制緩和推進計画等で「撤廃の方向で見直す」と繰り返し閣議決定されてきたにも係わらず、流通分野においても、いくつかの事業においてこれらの規制が依然残されている。規制緩和推進計画等で既に決定された事項についてはその着実な実施を図るとともに、実施時期等が明確にされていない事項や計画に記載のない事項については、検討を急ぎ早期廃止に向けたスケジュールを明確にすべきである。同時に、新食糧法、食品衛生法、薬事法、景表法、古物営業法等における各種の設備規制や必置規制、規格・基準、あるいは各種許認可等の申請手続きについても、実質的な参入の障害となったり事業者に過度の負担を課すことなく、事業者の創意工夫が図られるような見直し、検討の具体化等が求められる。
また、大店法に代わり本年6月より施行された大規模小売店舗立地法についても、商業調整的な運用等の上乗せ規制を排除することを中心にその適正運用を図るとともに、その他各種規制についても、上記観点にたった検討を求めたい。
土地・住宅分野の規制については、土地の有効・高度利用を促進する改革が求められる。都心部においては、多様なライフスタイルを満足させる職住近接の活気ある都市づくりを支援し、良質な居住空間を整備するという視点が重要である。なかでも、市街地再開発事業の迅速化に向けた諸規制の見直し、景気の下支えとなる住宅建設を促進する老朽化した共同住宅の建て替えを円滑に実行するための規制の改革を推進することが重要である。
具体的には、建築基準法に基づく地権者の全員同意要件や市街地再開発事業の区域要件の見直しを行なうことが必要である。また、公共事業の迅速化の観点から登記手続の簡略化、IT活用による事務付加軽減・ペーパーレス化の観点から宅地建物取引業法に基づく届出事項の簡素化も強く求められる。
また、低未利用地活用の観点から、暫定利用の促進に向けた規制の緩和が必要である。
さらに、PFI事業の推進にあたって、既存の法律が民間事業者の技術の活用や創意工夫の発揮といったPFI事業の特性を最大限引き出すべく、民間事業者選定に係る多段階選抜方式や優先交渉者との時間をかけた契約交渉など、新しい調達手続きを一般競争入札という形で法制化するとともに、公物管理法上の管理者とPFI事業者との法的地位の関係などについて、適宜、規制の緩和・見直しを行っていく必要がある。
わが国が循環型社会推進への一層の取組みを進めていく転換期においては、廃棄物に係る制度と現行の社会経済システムとの調和を図ることが重要である。使用済みの物質を、素材や原材料として再利用することを促すため、割高な静脈物流コストの低廉化、適正処理・処分のコスト低減を図る施策を打ち出すことが必要である。
しかしながら、現行の法体系は、処理・処分を効率的に行うという観点が十分に取り入れられているとはいえないため、現実の事業活動のなかで、再利用等の阻害要因となる事例がある。たとえば、無価物か逆有償となった「使用済みの物質」は、廃棄物処理法上の「廃棄物」と位置づけられるため、適正処理され無害化された性状のものであっても、再利用を進める上で厳しい規制が課される。
廃棄物処理の効率化を進め、循環型社会の推進に一層取り組むためには、一般廃棄物と産業廃棄物の区分を有害性の度合いに応じて見直す等、資源循環を促すような規制体系とすべく、現行の法制度を見直す必要がある。
今年度においては、とくに民間の手により安全性が十分に確保されているにもかかわらず、現行法上認められない行為を可能にするための規制緩和を中心に要望を取り上げている。
この他、環境保全分野については、事業者の環境保全への自主的取組を支援する観点から、ばい煙測定に係る制度の見直し等を要望する。
事故・災害の防止は、企業の継続的かつ徹底した自主的努力により初めて確保し得るものであり、法の規制によってのみ保証されるものではない。保安・安全にかかる規制は、技術水準の向上や企業の保安レベルの程度、規制目的と費用対効果の実態等に応じて、適宜見直されるべきものである。その点、政府の規制緩和推進計画に基づき、保安関連法の検査の合理化、ならびに技術基準の見直しにおいて、着実な進展が得られつつあることは成果と言える。
しかしながら自己責任原則に則った自主保安体制の確立という点では、欧米先進諸国に比べ残された課題は多く、以下の三つの観点から引続き規制改革を求めていく。
性能規定化と国際整合化の推進
各法で定めている構造、設備に係る技術基準の性能規定化を図り、国際的に整合のとれた制度へ速やかに移行すべきである。満たすべき機能の具体的な例示基準については、国際規格、JIS規格ならびに民間規格を積極的に活用し、技術進歩への迅速な対応を可能とすることが肝要である。
合理的な検査
検査機関に関しては認定機関も含め、国の関与を必要最小限とする体制が望ましく、自己確認・自主保安を基本としつつ、国際ルールを踏まえ公正・中立な第三者による検査等を、必要に応じ義務づける仕組みを設けることが重要である。当面は、民間検査機関への市場の開放をさらに進めると共に、事業者自らが実施する自主検査について、対象範囲の拡大を図ることが必要である。
保安四法の重複規制の解消、整合性の確保
保安四法の重複規制の解消、整合化については、「合理化・整合化促進に関する実務者検討会」において検討が進められているが、四法一元化の最終目標を見定めた上で、法改正も視野に入れた一層の努力を傾注することを強く要望する。
インターネットの爆発的普及、移動体通信の発展、通信と放送の融合時代の到来などを背景に、ITは、国民生活の質的向上、雇用機会の確保、行政システムの改革、ならびに、産業競争力の強化や新産業・新事業の創出にとって不可欠の基盤となっている。欧州、アジア諸国では、こうしたITのメリットの活用を推進に官民をあげて取り組んでおり、その一環として、大胆な制度改革を進めている。
わが国においては、これまで個別の規制緩和が進められてきたが、今後は、新しい時代に合った枠組みを構築するための制度改革が必要である。とくに、事前規制から事後チェックという政府の方針を情報通信分野において実現することが重要である。そのため、事業者間の自由かつ公正な競争を通じて通信料金の低廉化や利便性向上を促すための電気通信事業法、NTT法の抜本改革、通信と放送の融合に対応した制度改革、民間の自由な創意工夫による無線の活用のための環境整備、ITS推進のための規制緩和、情報ネットワーク化を想定していない諸制度の見直しなどを、国民にわかりやすい透明なプロセスの中で推進すべきである。
IT革命や経済のグローバル化が急速に進展する中で、国民・企業により良質・多様な資産運用と資金調達の機会の提供を可能とし、ひいてはわが国金融・資本市場の競争力を高めることが求められている。その基本は、業態を超えた競争や新商品・サービスの創出を妨げ、また利用者保護の面でも限界のある、現在の業法中心の枠組みを抜本的に改革していくことである。
こうした観点から、金融審議会では、(1)できるだけ広範囲の金融商品・サービスを対象とした取引ルール、(2)この取引ルールを補完する業者ルール、(3)一般的な行為ルールとしての市場ルールのあり方について検討し、99年末「中間報告(第2次)」を取りまとめた。これを踏まえ、今般、「金融商品の販売等に関する法律」が制定されるとともに、集団投資スキームの整備に関し関係法律が改正されたところである。しかしながら、これらは、対象範囲、内容とも、当初期待されていた統一的・包括的な「日本版金融サービス法」とはほど遠いと言わざるえない。
規制改革委員会の「論点公開」では、本分野の規制緩和・規制改革は「他の分野に比しても大きな進展が見られている」としているが、首鞜�竚癈鷭∂焜聨纃瘟赧漓�籬�㏍聽轣蛹就午痳盞痳禊竅甦盡禧⊂桿轣蛹Γ蔚飴頏阡繝�籟鹿齔瘤召箸気譴覿睛札轡好謄牴�徊‥銈蓮�繁|羶瓦力帆箸澆鯀按鵑箸靴振伴圓了夏�襦璽襪涼椴浪宗⊂攘�莪栁,粒萢僂砲茲覦貮凜襦璽襪硫C撚修忙澆泙辰討い襦�靴燭�辰董����廾儖�颪砲蓮�従�鬚茲衫筝靴貿聴�掘∩瓦討龍睛讃ι福Ε機璽咼垢鵬C播�憤賤�④里△覽’淑緬\�亮存修函△海譴鯀按鵑箸靴振繁|羶瓦力帆箸澆�蕕涼Φ僂鯡槁犬法����廚房茲蠢箸爐海箸�召泙譴襦�
経団連としては、こうした抜本的な規制改革に向けた重要なステップとして、本年度は、(1)銀行業における店舗規制の撤廃、(2)保険商品の監督規制の緩和等を要望する。
なお、21世紀を支える金融の新しい枠組みを構築する上では、上記法制整備と並んで、証券決済法制や無券面化を可能とする法制等の整備、電子化の推進、DVPの実現等証券決済システムの改革が不可欠であり、この面でも規制改革委員会の活躍を期待したい。
地球規模での大競争が激化する中、わが国産業の国際競争力を強化し、経済新生を実現するためには、高コスト構造の是正が緊急の課題である。特に、あらゆる産業活動と密接に関わり、国民生活の基盤となる物流については、その効率化を着実に進め、コスト面などにおいて国際的に遜色ない物流サービスを実現しなければならない。そのためには、交通・物流インフラの重点的な整備や公租公課の軽減に加えて、交通・物流に係る規制改革を推進することが不可欠である。
運輸分野については、需給調整規制の原則廃止、価格規制の弾力化等の観点から、各輸送モードにおいて諸施策が実施されてきたものの、積み残された課題も依然として少なくない。
具体的には、道路運送の効率化を図る観点から、車両諸元に係る規制やトラック営業区域規制の見直しを行なうことが必要である。また、国際競争力の強化ならびに地球環境問題への対応等の観点から、海運の利用促進が強く求められている。このため、輸出入や港湾諸手続の簡素化によるワンストップ行政の実現、港湾の365日・24時間体制を実現する上で足枷となっている諸規制の緩和等が引き続き大きな課題となっており、一刻も早い行政の対応が望まれる。
わが国は、現在、エネルギーをめぐって、エネルギーの安定確保、エネルギーコストの一層の低減、地球温暖化問題への対応という3つの大きな課題に直面している。これらの課題は、それぞれ補完し合う面を持つとともに、相反する面もある。エネルギー問題への取組みにあたっては、経済活力を維持しつつ、それぞれの課題のバランスのとれた解決を図ることが必要である。そのためには、民間の自主的な取り組みを基本にすることが重要であり、規制改革が果たすべき役割は大きい。
本年3月より電力の小売分野における部分自由化がスタートし、8月には初の競争入札が行なわれる等、規制改革は進展しているが、引き続き、上記3つの課題へのバランスの取れた対応を図りつつ、安全性の確保を大前提とした原子力の推進、マイクロガスタービン等分散型電源の普及促進等につながる規制改革を進めるべきである。
規制改革の進展に伴い、政府による事前規制から、公正で透明なルールによる事後的規制へと政策の比重が移る中で、競争政策はより重要性を増す。しかし、独禁法自体にも、未だ企業結合規制を中心に予防行政的な届出制や形式的基準による過重な規制が残されている。
例えば、独占禁止法第9条の2により大規模会社(資本金350億円以上または純資産1400億円以上)の株式保有総額は、資本金または純資産のいずれか大きい額の範囲に制限されている。また独禁法第11条は、金融会社が国内の会社の株式を保有する場合、当該会社の発行済み株式総数の5%(保険会社は10%)を超えることを禁止している。
一方で、株式の所有を通じた競争制限に対しては、独禁法第10条が置かれており、同条が適正に運用されれば、第9条の2、第11条を廃止しても、競争政策の遂行上、特段の支障は生じないと考えられる。これらの規制の速やかな見直しを求める。
経済のグローバル化が急速に進むなか、わが国企業による円滑な通商活動の確保が益々重要な課題となっている。政府は、輸出入の許認可に関わる規制改革を進めるとともに、諸基準の国際整合化を図るべきである。同時に、通関制度等のインフラ面の整備も進めるべきである。こうした改革は、日本企業の国際競争力の一層の強化に繋がるものである。
基準・規格・認証に関する規制緩和
現行の電気用品取締法が電気用品安全法に改正されることに伴い、本来の法改正の趣旨に反し、多くの面で規制が強化されつつあることを産業界は強く懸念している。かねてより要望している、(1)電気用品の技術基準適合検査方式・記録保存の規制緩和、(2)電気用品の表示方法の見直し、(3)電気用品の型式区分の限定化、等の実現が強く求められる。
規格・基準の国際的な整合化
多くの分野でわが国が独自の基準・規格を設定していることが、輸入に対する事実上の障壁となっているばかりか、わが国企業の国際競争力を削ぐ結果ともなっている。(1)電気用品技術基準の国際基準への整合化、(2)医療器具の消毒剤の承認基準の統一化、(3)食品添加物の許可基準の国際基準への整合化、(4)化粧品ラベル表示の変更等の早急な実現が望まれる。
税関制度の見直し
ビジネスにスピードとコスト競争力が求められるなか、貿易に伴う諸手続の簡素化・迅速化、コスト削減に資するよう、税関手続の簡素化の早期実現が必要である。特に、(1)税関の執務時間外の貨物の取扱い、(2)通関業の営業区域制限の撤廃、(3)本船入港前の事前通関の実施、(4)輸入許可前引取申請、諸減免輸入申請における輸入者から税関に対する担保供給手続の簡素化、等が重要である。
安全保障輸出管理制度の見直し
規制体系が複雑で不明確な点が多く、企業の事業活動に過大な負担を課している、安全保障貿易管理の規制緩和、透明化・簡素化も重要な課題である。特に、(1)輸出規制対象品目及び地域の削減、(2)市販の暗号製品に関する輸出規制の明確化、(3)輸出貿易管理令第5条「許可を要しないもの」に関する確認の廃止、などを積極的に推進すべきである。
昨年7月に「食料・農業・農村基本法」が制定され、今後の農政改革の基本的理念、施策の方向性が示された。さらに、それを具体化するものとして、本年3月に「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定された。
農業を取り巻く現状を見ると、小麦の民間流通の導入、粗糖関税の撤廃等に見られる市場原理を重視した農産物の価格制度の構築、及び食品産業の経営強化に向けた施策が展開されつつある。
しかし、その一方で、国内農業は高齢化、零細化など生産基盤の脆弱化が急速に進行しており、また、需要者側である国内食品産業も、依然として、製品関税率の引下げと国内農産物の価格制度、国境措置の狭間で厳しい経営環境に置かれている。
今後の農政には、国内の農業生産基盤を強化し、生産性の向上と高付加価値型の農業経営の確立を図ると同時に、消費者志向が多様化するなかで、価格、品質等消費者ニーズに的確に対応し得る生産体系を構築するという視点が欠かせない。また、農業の国際化に対する一層の配慮も必要となろう。そのような観点から、農産物の価格支持制度のさらなる見直しや農産物の関税の引下げ、防疫制度の簡略化等の条件整備などが重要な課題となろう。