経団連タイムス No.3079 (2012年3月22日)

震災復興を願いシンポジウム開催

−復興支援に関するパネルディスカッション実施


佐藤共同委員長
古賀共同委員長

経団連(米倉弘昌会長)の社会貢献推進委員会(古賀信行共同委員長、佐藤正敏共同委員長)と1%クラブ(佐藤正敏会長)は9日、約200名の参加者を得て、シンポジウム「東日本大震災からの早期復興を願って−共助のあり方を考える」を開催した。

冒頭、佐藤共同委員長から「東日本大震災における経済界の被災者・被災地支援活動に関する報告書」別掲記事参照)が紹介されたのに続いて、古賀共同委員長の進行のもと行われたパネルディスカッションでは、岩手県副知事の上野善晴氏、東北漁業再開支援基金・希望の烽火(のろし)代表理事の岡本行夫氏、ふんばろう東日本支援プロジェクト代表の西條剛央氏が、復興に向けた取り組みと経済界等への期待を語った。

復興に向けた取り組み

被災者・被災地支援や復興に向けた取り組みとして、上野氏は、(1)安全の確保(2)暮らしの再建(3)なりわいの再生――を軸とした県の復興計画を示した。また世界遺産・平泉を通じた観光振興、素粒子物理学や海洋学等の国際科学技術研究拠点の誘致を、新たな飛躍に向けたカギと位置付けた。

岡本氏は、生活・生産システムの迅速な再建が優先との問題意識を提示するとともに、漁業復興にあたる希望の烽火プロジェクトを紹介した。また、企業の協力で届けられたコンテナ等が、独自に棚や製氷機を取り付けられ活用されている姿から、地域の豊かな現場力を実感する、と将来に対する期待を語った。

西條氏は、ふんばろう東日本支援プロジェクトのベースとなった、個々人が被災地に直接物資を送る仕組みとその立ち上げの経緯を説明するとともに、家電の送付や、自立支援につながる重機免許取得支援、ミシン縫製仕事の支援等、次々に展開されたプロジェクト事例を紹介した。

復興に向けた課題

復興に向けた今後の課題として、岡本氏は国の方針の遅れと復興に必要なマンパワー不足を指摘し、あわせて放射能問題における国の一層の対応を求めた。西條氏は現地の人口減少を問題視し、早期に人が戻れる環境づくりが大切と指摘した。同時に、支援の経験から、個人情報保護法制の運用の問題点、トレーラーハウスを用いた迅速な仮設住宅整備策にも言及した。上野氏は、特区制度や復興交付金に対する弾力的な運用や、がれき処理問題における国の積極的な支援を期待したほか、地方では復興の人材・アイデア不足が悩みと語った。また、三者から共通して被災地が忘れ去られることへの懸念が示された。

企業への期待

企業に対しては、西條氏は「われわれは地域と企業をつなぐ支援ができる」と連携に意欲を見せた。岡本氏は企業が抱えるアイデアあふれる人材の活用、上野氏は被災企業への息の長い支援などに期待を寄せた。

最後に、「小さなことでも行動し、継続を」(上野氏)、「継続的な支援のため、各社で行動してほしい」(西條氏)、「第一にスピードが重要」(岡本氏)と会場の参加者へメッセージが寄せられた。

なお、同日、震災に関連する社内報展示も行われた。

パネルディスカッションでは復興に向けた取り
組みや経済界への期待について討議が行われた
【政治社会本部】

社内報展を開催「東日本大震災、復興に向けた企業の歩み」

熱心に社内報を閲覧する来場者

日本経団連事業サービス社内広報センターは9日、東京・大手町の経団連会館で社内報展「東日本大震災、復興に向けた企業の歩み」を開催した。社内報担当者だけでなく、人事やCSRの担当者など175名が来場し、熱心に社内報を閲覧していた。

昨年11月に東日本大震災に関連する記事を掲載した社内報の提供を呼びかけたところ347社・団体から854点が集まり、うち開示可能と回答のあった536点が社内報展で公開された。掲載内容は、トップのメッセージ、被害状況、事業継続のための取り組み、被災地支援活動、防災や節電の推進など多岐にわたる。時系列的な変化を追うこともでき、関連部署の具体的活動、担当者の思いなど臨場感溢れる情報になっている。社内報が、自社の取り組みを社内に伝え、目標を共有して一体感を醸成するコミュニケーション手段として活用されていることが伝わってくる。

社内広報センターでは、今回提供された社内報を保管、センター会員が閲覧できるアーカイブとしていく予定である。

【日本経団連事業サービス】
Copyright © Keidanren