経団連タイムス No.3079 (2012年3月22日)

経済界による震災支援活動に関する報告書を取りまとめ

−経済界全体からの支援額は1200億円


経団連の社会貢献推進委員会(古賀信行共同委員長、佐藤正敏共同委員長)と1%クラブ(佐藤正敏会長)は、東日本大震災から1年が経過するにあたり、「東日本大震災における経済界の被災者・被災地支援活動に関する報告書−経済界における共助の取り組み」を取りまとめた。

報告書は、会員企業・団体に対して行ったアンケート結果等をもとに、経済界における支援活動の全体像を整理するとともに、経済界による支援額等の数値結果を「データ集」、企業・団体が実施した特徴的な支援活動である約500の事例を「事例集」として掲載した。

本業活かした支援活動も

<報告書のポイント>

■ 経済界の支援活動における5つの特徴

経済界の支援活動には次の5つの特徴がみられる。

  1. (1)多くの企業・団体が支援を行い、社員や消費者に寄付を呼びかけて集めた額も含め、経済界全体からの支援額は約1200億円に上る。
  2. (2)単に、資金や物資を寄付するだけでなく、資金、物資、人材・ノウハウを組み合わせ、本業を活かして多様な支援活動を展開している。
  3. (3)迅速な支援が行われた一方で、3〜5年など、長期にわたる支援をコミットメントするケースがみられる。
  4. (4)自社ボランティアプログラムの企画や休暇制度の創設など、企業のさまざまな支援により、約18万人の企業人ボランティアが活動した。
  5. (5)国や地方自治体のほか、NPO等と連携・協働して支援活動を実施した事例が目立つ。

なお、経済界では、インフラの早期復旧や生産の継続、被災地での雇用など、本業の事業活動の一環としての支援活動も展開している。事業活動の一環としての活動は、支援額の集計には含めていないが、事例集のなかで一部紹介している。

■ 復興に向けた今後の課題

復興までの長い道のりを見据え、支援の継続が望まれる。今後は、地元経済の自立的な復興を促す支援が重要である。

地方自治体やNPO等と連携して現地ニーズを把握しながら、企業の強みを活かした活動を行うことがポイントとなる。NPO等への寄付を通じた被災事業者への支援も産業復興支援として有効である。

■ 今後の大規模自然災害に備えて

今後、大規模自然災害の発生に備えて、以下の検討が求められる。

  1. (1)支援ニーズ情報の収集・提供機能の充実、ニーズをマッチングする仕組みの構築
  2. (2)企業・団体間での支援活動の連携促進策
  3. (3)非常時における諸規制の柔軟な運用
  4. (4)経済界の支援活動に対する第三者評価の仕組みづくり
  5. (5)平時から行っている社会貢献活動が低下しないような配慮
【政治社会本部】
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