2013年以降のポスト京都議定書における新たな国際枠組については、11月末から12月初旬にかけて南アフリカのダーバンで開催される気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)に向けた交渉が進められている。経団連としては引き続き、米中を含むすべての主要排出国が責任あるかたちで参加する、公平かつ実効性のある単一の国際枠組の構築に向け、関係方面に働きかけていくことが重要である。
そこで、環境安全委員会(坂根正弘委員長、天坊昭彦共同委員長)は5日、東京・大手町の経団連会館で会合を開き、COP17に向けた国際交渉の動向や日本政府の対応について、経済産業省の菅原郁郎産業技術環境局長から説明を聞き、意見交換を行った。あわせて、COP17に向けた提言「ポスト京都議定書の新たな国際枠組の構築に向けて」(案)の審議を行った。菅原局長の説明概要は次のとおり。
現在、議長国南アが前面に立ち、国連気候変動交渉が進行しているが、COP17に向けた展望は全く見えていない。京都議定書の約束期間(2008〜2012年)が終了した後の温暖化対策が進まなくなるという「ギャップ」をいかに回避するかが大きな論点となっているが、各国の意見は対立している。
途上国は依然として、京都議定書の第二約束期間の設定を強硬に主張しているが、日本は「絶対反対」の立場を繰り返し主張している。ポスト京都の法的枠組にすぐに合意することが困難な状況下で、欧州連合(EU)などが、交渉を継続するため、「すべての主要国が参加する法的枠組」に向けた交渉マンデート(期限付き)を提案する可能性も出てきている。
わが国は、東日本大震災を受け、原発停止に伴う火力発電の代替や復興需要による経済活動増加などにより、現行の京都議定書目標を達成できるか予断を許さない状況にある。
日本にとって大きな課題は、各国が国連事務局に提出済みの目標・行動を正式決定しようという動きが起こったとき、いかに対応するかである。「すべての主要国による、公平かつ実効性のある国際枠組の構築と意欲的な目標の合意」という前提条件付きとはいえ、大震災を踏まえ、「温室効果ガスの90年比25%削減」という中期目標をどうするかが問われている。エネルギー政策の見直しと中期目標の見直しを表裏一体のものとして検討する必要がある。
国際交渉においては、国際枠組に関する議論のほか、途上国への技術移転や資金協力の仕組みなどに関する具体的な検討も進められている。
わが国としては、技術という日本の強みを活かし、これまで主体的かつ積極的に行ってきたセクター別アプローチやアフリカ支援などとあわせて、グローバルな排出削減や持続可能な開発に貢献していく方針である。