日本経団連タイムス No.2966 (2009年9月10日)

第25回「企業広報賞」表彰式を開催

−大賞など1社4氏が受賞/経済広報センター


日本経団連の関連組織である経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は3日、東京・大手町の経団連会館で、第25回「企業広報賞」の受賞企業・受賞者に対する表彰式を開催した。企業広報大賞はファーストリテイリング(柳井正・会長兼社長)が受賞したほか、企業広報経営者賞は大和ハウス工業会長兼CEOの樋口武男氏、本田技研工業相談役(前社長)の福井威夫氏が受賞した。また企業広報功労・奨励賞にはP&Gジャパン・エクスターナル リレーションズ マネージャーの岩原雅子氏、デルフィス副社長(前トヨタ自動車常務役員)の中井昌幸氏が選ばれた(各賞の趣旨、受賞の理由については8月13日号既報)。

御手洗会長があいさつ

表彰式では、主催者を代表して御手洗会長があいさつ、「企業を取り巻く環境は、経済の急速なグローバル化の進展や、情報発信ツールの多様化・スピード化などにより大きく変化している。企業が事業を円滑に実施するためには、企業を取り巻く多様なステークホルダーに企業活動や経営方針、経営者の考えを示して理解してもらい、支持を得ることが肝心。特に現在のような経済危機下では、全社員が同じ経営方針の下で同じ目標に向かい、努力するとともに、その姿勢を社会に対し、示していくことが必要」と指摘。その上で「今回受賞された企業、経営者、担当者の方々は、長期的な視点に立った経営判断や企業活動を行い、それを的確、かつ効率的に社内外に発信することにより、社会からの理解と支持を得ている。引き続き企業広報の一層の発展に寄与してほしい」と述べた。

選考委員の紹介、表彰状・トロフィーの贈呈に続いて、受賞企業代表・受賞者があいさつし、喜びを語った。各賞受賞者のあいさつの要旨は次のとおり(文責記者)。

受賞者の喜びの声


あいさつするファースト
リテイリングの柳井氏

〈柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長〉

なぜ大賞に選ばれたかと考えたときに、中小企業であった当社では、広報活動、PRを行わない限りさまざまなことが伝わらないことから、自ら積極的に伝えなければ伝わらないという当たり前のことを地道に行ってきた結果だと思っている。経営者だけでなく、社員全員が世の中に対して、われわれはこういう会社で、こういう方向性を持っているということを伝えることが大事だと思っている。

〈樋口武男・大和ハウス工業会長兼CEO〉

かつて支店長に就任した時、いかに社員のモチベーションを上げるかを最初に考え、まずは一人ひとりと対話を行うことからスタートし、見違えるような業績を上げるようになった。トップになってからも、できるだけ会社の考え方を理解してもらうため、積極的に取材にも応えてきた。創立50周年を期に現在、「人、街、暮らしの価値共創グループ」のスローガンの下、多くのステークホルダーと対話を続けている。創業者が一代でつくり上げたDNAをどう継承していくかと考え、将来に向けた新しい事業へのメッセージを発信している。

〈福井威夫・本田技研工業相談役〉

自動車産業は実質的なスタートから100年を迎えるが、次の100年に向けて発展し続けていくためには、既成概念にとらわれず、魅力的な商品をつくる力をさらに強化することが重要と認識している。そこで当社では先進の環境技術に経営資源を集中、特にハイブリッド車への取り組みを加速してきた。今後も期待される商品をよりスピーディーに、他にない先進の技術で、世の中に提案していきたい。

〈岩原雅子・P&Gジャパン・エクスターナル リレーションズ マネージャー〉

広報に異動し、ダイバーシティー(多様性)は当社の強み、個性であり、それを外部に広く伝えたいと考えるようになった。その後10年を経て、急速にダイバーシティーへの社会的な関心が高まった。女性の子育てや社会進出を支援することの重要性が大きく叫ばれるようになり、そのためのノウハウ、成功事例などについて話を聞きたいという声が多くなった。「仕事と子育てカウンセリングセンター」では、一人でも多くの女性に、充実した仕事と子育ての両立をしてほしいという思いを込めて支援を実施している。

〈中井昌幸・デルフィス副社長〉

これまで通算25年間、広報を担当してきたが、この間広報機能が非常に重要性を高めてきた。広報は企業経営の中枢機能の一つとなった。昨今、企業の社会的責任、役割が非常に大きくなっている中、地域社会が、企業に「良き企業市民であれ」ということを求めている。また経済的貢献と社会的貢献のベクトルがうまくかみ合わないと健全に成長していけないという思いを強く持っている。

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