日本経団連タイムス No.2955 (2009年6月18日)

御手洗会長はじめ産業界首脳が麻生首相訪問

−「ポスト京都議定書におけるわが国の中期目標について」日商と連名の要望書を提出
/改めて産業界の考え方伝える


温室効果ガス排出に関するわが国の中期目標については、政府の中期目標検討委員会が4月中旬、2020年に05年比マイナス4%とする案からマイナス30%とする案までの6つの選択肢を示した。

これに対し、日本経団連(御手洗冨士夫会長)では、国民との意見交換会での意見陳述、パブリック・コメントの提出、主要閣僚・与野党幹部への働きかけなどを活発に行ってきた。

さらに、麻生太郎内閣総理大臣が中期目標を公表する直前の8日、御手洗会長が、岡村正・日本商工会議所会頭、勝俣恒久・東京電力会長、三村明夫・新日本製鐵会長とともに、首相官邸を訪問し、日商との連名による要望書を手渡し、産業界の考え方を改めて伝えた。要望書の内容は次のとおり。

◇◇◇

ポスト京都議定書におけるわが国の中期目標について

産業界は、製造工程および製品の両面における世界最高のエネルギー効率のさらなる向上、優れた環境技術の開発および地球規模での普及など地球温暖化問題の解決に、引き続き主体的に取り組む決意である。
そのためには、企業活力の維持・強化が不可欠である。
中期目標の設定にあたっては、国際的公平性、実現可能性、国民負担レベルの妥当性等が確保されるべきであり、とりわけ下記の点にご配慮いただきたい。
同時に、ポスト京都議定書の国際枠組については、基準年を2005年とするとともに、米国、中国、インドといった主要排出国が、意味ある形で参加することが不可欠と考える。

  1. 1.公平な国際競争条件を確保するため、わが国の削減目標が、限界削減費用等で見て欧米の目標と同等となる必要がある。
    なお、欧米では、CDM等を含めた中期目標の検討がなされているが、わが国との削減水準の比較においては、国内対策による削減分のみを比較の対象とすべきと考える。

  2. 2.中期目標の検討にあたり、セクター別に削減ポテンシャルを積み上げる手法が採られたことを評価する。
    民生・運輸部門等の目標達成は、新エネ・省エネ製品の消費者への普及に大きく依存しており、政府の取組みを強く求めたい。他方、政府の想定通りに普及せず、民生・運輸部門等での目標が未達成となる場合は、政府の責任で必要な手当てをすべきである。

  3. 3.温暖化問題の真の解決の鍵を握るのは技術である。技術開発の担い手たる企業の活力を削ぐような政策(環境目的の新規課税、強制キャップを伴う排出量取引制度等)は導入すべきではないと考える。

  4. 4.温暖化対策に伴うエネルギーや製品の価格上昇等の負担増加について、理解や納得が得られるよう、政府が国民に対し十分な説明を行うことが求められる。

【環境本部】
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