日本経団連は10日、「新卒者採用に関するアンケート調査」の集計結果を発表した。この調査は、大学等の新卒者採用活動の実態を把握するため、今年1月から2月にかけて、会員企業1309社を対象に行い、455社から回答を得た(有効回答率34.8%)。アンケート結果の概要は以下のとおり。
2008年度に採用活動を実施した企業の割合は95.8%(前年度97.2%)となり、6年ぶりに前年を下回った。前年と比較して採用人数が増加した企業は34.9%(同49.9%)と減少する一方で、前年どおりだった企業が43.2%(同28.8%)となった。
09年度については、採用活動実施予定の企業の割合が86.4%と、前年度(93.9%)に比べ減少した。また、採用実施予定ありと回答した企業のうち、採用予定人数を減少させる企業は46.6%(前年度5.9%)と、前年に比べ大幅に増加した。
説明会・選考会を複数回実施している企業(96.2%)や、オープンエントリー(公募制)を行った企業(89.6%)、大学名不問採用を行った企業(56.8%)の割合がいずれも過去最高となるなど、さまざまな選考形態・手法を導入する企業が一層増加した。
また、新規採用者に占める中途(経験者)採用者の割合が30%を超える企業は32.9%と、5年前(21.5%)に比べて大きく増加したほか、海外大学卒業者の採用を行った企業の割合は31.8%と、6年前(14.6%)の2倍以上になるなど、多様な価値観・能力を有した人物を採用したいという企業のニーズがうかがえる。
他方、就職機会の均等を期し、学生が落ち着いて就職活動に臨めるよう、選考プロセスを「予め開示した」企業は93.8%(同88.7%)となった。そのうち、半数を超える51.5%の企業がその効果を認めている。
企業が採用選考時に重視する要素(複数回答)は、「コミュニケーション能力」が76.6%(前年度79.5%)で、6年連続して第1位となった。以下、「協調性」56.1%(同53.0%)、「主体性」55.2%(同51.6%)、「チャレンジ精神」51.5%(同49.4%)、「誠実性」40.0%(同42.4%)が続いており、昨年と同順位となっている。
インターンシップ制度を「評価する」と回答した企業は52.5%(前年度56.0%)であった。インターンシップへの協力要請に対しては、「学生を既に受け入れている」とした企業が58.9%(同60.6%)、「今後受け入れる方向で検討したい」とした企業が16.2%(同18.0%)となった。いずれも前年より減少したものの、多くの企業がインターンシップ制度に対して前向きに取り組んでいることがうかがえる。