日本経団連タイムス No.2892 (2008年2月7日)

07年度新卒者採用に関するアンケート調査結果発表

−「コミュニケーション能力」、採用選考時の重視要素5年連続1位


日本経団連は1日、「新卒者採用に関するアンケート調査」の集計結果を発表した。この調査は、大学等の新卒者採用活動の実態を把握するため、昨年10月、日本経団連企業会員1334社を対象に行い、602社から回答を得た(有効回答率45.1%)。アンケート結果の概要は次のとおり。

97%の企業が採用活動実施

■ 採用実績・採用市場

2007年度に採用活動を実施した企業の割合は97.2%(前年度94.4%)となり、5年連続で過去最高を更新した。

就職・採用市場に対する採用担当者の評価は、「昨年に比べて売り手市場であった」との回答が88.3%(同88.6%)であった。企業の採用意欲は高まっている一方、採用予定数を100%充足した企業の割合は58.5%(同53.5%)にとどまっており、多くの企業が人材獲得に苦戦したようである。

また、08年度の採用活動については、採用活動実施予定の企業の割合が93.9%(同90.5%)と、2年連続で9割を超えている。このうち、採用予定人数を増加する企業は18.6%、07年度と同水準の人数を採用予定の企業が75.5%となっている。

■ 選考形態の多様化

説明会・選考会を複数回実施している企業の割合は87.8%に上り、「効果があった」と評価する企業は93.8%であった。また、オープンエントリー(公募制)を行った企業の割合は88.5%であり、「効果があった」と評価する企業は87.0%となっている。

今回、通年採用を行った企業は37.4%となっており、その内訳は「既に導入している」が34.5%、「今年から導入した」が2.9%となっている。このうち、「年間を通しての随時採用」は51.6%、「春季一括採用に秋季採用を追加」した企業は37.2%であり、通年採用を導入して「効果があった」との回答が84.0%に上っている。

また、海外大学卒業者の採用については、採用を行った企業の割合が29.4%(前年度25.7%)と、過去最高となっている。

他方、学生の就職機会の均等を期し、落ち着いて就職活動に臨むこと等を目的に、選考プロセスを「予め開示した」企業は88.7%(同85.7%)と9割近くに達し、そのうち、半数を超える56.6%の企業がその効果を認めている。

■ 選考時に重視する要素

企業が採用選考時に重視する要素(複数回答)は、「コミュニケーション能力」が79.5%(前年度81.7%)で、5年連続して第1位となった。以下、第2位が「協調性」で53.0%(同53.0%)、第3位が「主体性」で51.6%(同49.6%)、第4位が「チャレンジ精神」で49.4%(同53.7%)、第5位が「誠実性」で42.4%(同36.1%)となっている。

また、応募してきた学生の特徴については、「就職に対する意識の高い学生とそうでない学生の二極化が進んでいる」「就職活動を楽観視して、十分な企業研究を行っていない学生が増加した」「大手・安定志向が強かった」等の意見が挙げられている。

■ インターンシップ

今回、インターンシップ制度を「評価する」と回答した企業は56.0%(前年度51.3%)であった。インターンシップへの協力要請に対しては、「学生を既に受け入れている」とした企業が60.6%(同53.6%)、「今後受け入れる方向で検討したい」とした企業が18.0%(同18.7%)であり、両者を合わせると8割弱の企業がインターンシップ制度に対して前向きに取り組んでいることがうかがえる。

【労政第一本部雇用管理担当】
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