日本経団連タイムス No.2873 (2007年8月30日)

日本経団連キャリア・アドバイザー(NCA)フォローアップ講座

−第2講座「改正パートタイム労働法のポイント」
/第3講座「短時間労働者をめぐる新たな動き」


日本経団連事業サービスは8日、「日本経団連キャリア・アドバイザー(NCA)フォローアップ講座」を開催した。

第1講座「キャリア教育からみた人材育成の現状」(8月23日号既報)に続く第2講座では、厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課の佐々木菜々子課長補佐が「改正パートタイム労働法のポイント」について講演した。佐々木氏はまず非正規労働者の増加について、「近年の急速な経済・産業構造の変化や価値観の多様化などが非正規労働者の増加を生んだ。これは企業と働く側双方のニーズによってもたらされたものである」と分析。このような事実を踏まえ、短時間労働者が能力を一層発揮できるような雇用環境を整備し、通常の労働者と均衡のとれた待遇の確保などを図るために、改正パートタイム労働法がつくられたと説明した。

引き続き、「労働条件の文書交付・説明義務」「均衡のとれた待遇の確保の促進」「通常の労働者への転換の推進」など、今回の主な改正点について具体的に解説を行った。

第3講座は、リクルートワークス研究所『Works』の高津尚志編集長が「短時間労働者をめぐる新たな動き」をテーマに講演した。

はじめに高津氏は、短時間労働者が既に労働者の4分の1を占め、特に卸売・小売業では4割を超えている現状を明らかにし、賃金・待遇の差の緩やかな拡大、換金化されていない経験の問題などが、正社員との固定化された差異につながっていると指摘。今回の改正パートタイム労働法について、「当たり前のことを当たり前ととらえるフェアさが必要」としたところに意味があるとの見解を示した。

さらに、法律面からのアプローチに限らず、優秀な人材を引き止めるという観点から、小売業を中心に正社員化への動きが加速している現状や、アパレル業の一部では、これまで正社員として処遇できなかった人材に対して制度を細分化・多様化することで人材を安定確保し、育成する必要性を高めるような区分が新たに設定された事例を示した。

一方、あるサービス企業では、いかに短時間労働者の退職率を下げるかに努力を傾注し、そのためにミッションの刷り込みから始める研修の徹底が、特に重要となっていることも紹介した。

最後に高津氏は、「いま企業にとって大切なことは、“短時間労働者”は働き方の選択にすぎないことを理解し、働き手として認めているというシグナルを出すことによって、一人ひとりのこころに触れるような仕組みづくりをすること。“意味の共有”が企業と個人を結んでいる」と締めくくった。

【日本経団連事業サービス研修担当】
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