「外国人材受入問題に関する第二次提言」公表

日本経団連は２０日、「外国人材受入問題に関する第二次提言」<PDF>を公表し、関係各方面に建議した。日本経団連では２００４年４月に「外国人受け入れ問題に関する提言」（２００４年４月１５日号既報）を発表し、そのフォローアップの活動を行ってきたが、アジア諸国とのＥＰＡ（経済連携協定）等の新しい動きや高度人材・技能者に対する産業界のニーズの高まりなどを踏まえ、今般改めて提言を行うこととしたもの。提言は、産業問題委員会の下に新設された「外国人材受入問題に関する部会」（島上清明部会長）が中心となり、企業からのニーズ調査や有識者からのヒアリングを行った上で、主に専門的・技術的分野における外国人材の受入円滑化や在留外国人の生活環境の整備、外国人材の受入企業におけるコンプライアンス体制強化等を中心に取りまとめたものである。同提言の概要は次のとおり。

〔総論〕外国人材受入の社会的基盤

• 官民の責任の明確化＝政府は、現状を踏まえた基本方針を示し、担当大臣を置いた上で各省が連携して対処する。自治体は地域における外国人住民受入に向けた環境整備をする。また、民間企業は労働関連法規の遵守等のコンプライアンス体制を強化する。
• 労働市場の的確な把握と受入のコントロール＝現場で働く技能者を受け入れる場合、量的規制を含めた秩序ある受入を実現する。いわゆる「労働需給テスト」を行い、外国人材が国内労働市場に与える影響を勘案しつつ受け入れるといった制度設計を行う。
• 外国人の在留・就労管理の徹底＝現状では一度外国人登録を行い、その後、仕事や居住地を変えた場合、在留状況を把握するすべがない。このため、外国人登録や企業に対する雇用状況報告のあり方を抜本的に見直す。
• 受入側・送出側双方の利益の確保＝二国間協定を通じて送出国の責任明確化を図るとともに、ＯＤＡを活用した現地におけるキャパシティー・ビルディングを通じて、わが国と送出国の双方に利益のある受入を実現する。

〔各論〕

• 高度人材の受入＝わが国では、「人文知識・国際業務」や「技術」の在留資格による高度人材の入国・滞在が認められているが、場合によっては１０年以上の実務経験が要求されるなど、要件が厳しすぎる。国際的な人材獲得競争が展開される中で優秀な外国人材を確保する観点から、在留資格の取得要件の緩和ならびに、現在は３年とされている在留期間の５年程度までの延長が必要である。
• 技能者の受入＝看護師・介護士のほか一部の製造業における技能者等、現場で働く人材が不足している分野での受入については、ＥＰＡをはじめとする二国間協定のスキームを活用するなど、秩序ある受入を実現する。
• 生活支援＝外国人住民に対する生活支援について、特に日本語教育、子どもの教育等に必要な資金を確保すべく、県レベルあるいは市町村レベルで、国、自治体に加え、自発的に民間企業等が資金を拠出できるスキームを創設する。