内閣府の規制改革・民間開放推進室は14日、6月に実施した「特区、地域再生、規制改革・民間開放集中受付月間(あじさい月間)」で寄せられた全国規模の規制改革・民間開放の要望に対する関係省庁の回答を公表した。日本経団連では、会員企業・団体から寄せられた要望をもとに、15分野230項目に上る個別の規制改革要望を取りまとめて政府に提出していたが、これらに対する回答も示された。
それによると、日本経団連が要望した230項目に対して、「全国規模で対応を実施または検討」するとの回答があったものは54項目(23.5%)、「現行制度下で対応可能または事実誤認」とされたものは44項目(19.1%)であった。また、「対応が不可能」との回答があったものは132項目(57.4%)に上った(図表参照)。「対応が不可能」との回答があったものの中には、例えば、(1)株式会社等法人による農地取得・保有の要望(2)税関通関業務の24時間365日体制での実施の要望(3)港湾運送など4業務について禁じられている労働者派遣の解禁要望――などが含まれている。また、132項目のうち84項目については、昨年から引き続き要望したが、対応不可能との回答がなされ、依然として多くの規制が改革されないまま残っていることがうかがえる。さらに、「対応を実施または検討」するとの回答があったものについても、その内容を見ると、経済界の要望がそのまま受け入れられたわけではないもの、検討の結果、経済界の要望が実現するかは不明なものが少なくない。こうしたことからも規制改革はまだ道半ばであり、さらなる規制改革の推進に向けて働きかけを行う必要があるといえる。
「規制改革・民間開放推進会議」は、今年度が設置期限の最終年度であるが、来年度以降もさらに強力に規制改革を推進するため、その推進母体となる民間人主体の後継機関の設置が望まれる。
なお、個別の規制改革要望については、10月に実施が予定されている「もみじ月間」で、政府として改めて全国規模の規制改革要望を受け付けるとしている。日本経団連ではその際に、あじさい月間で積み残された要望および一部新規要望を提出し、実現を働きかけることとしている。また、「現行制度下で対応可能または事実誤認」とされた要望に関しては、規制の目的とビジネスの現場での実態を説明しながら、要望の実現を働きかける予定である。