日本経団連タイムス No.2818 (2006年6月22日)

会計基準のコンバージェンスに対する経済界の考え方を公表

−加速化支持の立場表明/欧米との相互承認求める


日本経団連は20日、「会計基準の統合(コンバージェンス)を加速化し、欧米との相互承認を求める」を公表し、政府・与党をはじめ関係方面に建議した。

今年2月、欧州委員会(EC)と米国の証券取引委員会(SEC)の間で、欧州域内上場企業に使用が義務付けられている国際会計基準と、米国上場企業に使用が義務付けられている米国基準について、2009年を目途に相互承認を実現する旨が確認された。この合意に基づき相互承認を実現するため、米欧の民間会計基準設定主体は、08年までの具体的なコンバージェンスの取り組みを開始している。
一方、日本では、会計基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)が、国際的な動向を踏まえながら会計基準の整備を進めており、米国と欧州の基準設定主体とも調整プロジェクトを開始しているが、規制当局間の合意はなく、相互承認に向けた道筋はいまだ明確となっていない。
そこで、意見書では、日本経団連として会計基準のコンバージェンスの加速化を支持する立場を表明し、米欧に後れをとることなく、わが国の会計基準の相互承認をめざすことを求めている。
提言の概要は次のとおり。

1.日本基準の孤立化への懸念

今後、国際会計基準と米国会計基準とのコンバージェンスが進み、日本基準だけが大きく乖離してしまえば、資本市場のインフラである日本の会計基準は国際的に孤立し、それが日本市場ならびに日本企業全体の信頼性の低下につながる懸念がある。

2.コンバージェンスの加速化と相互承認を求める

わが国資本市場の活性化や企業の円滑な国際的展開を促進する観点から、日本経団連は、会計基準のコンバージェンスを積極的に支持する。金融庁やASBJなどの関係者が一体となって、米欧の当局に対して働きかけを行い、規制当局間で合意を形成し、09年までに相互承認を実現すべきである。

3.今後解決すべき内外の課題と対応

コンバージェンスを進めるに当たり、日、米、欧の会計基準設定主体が定期的に意見交換を行い、協調し、相互理解を深める必要がある。特に、国際会計基準審議会は、会計基準の検討に際して、財務諸表作成者、利用者、監査人、市場監督当局などの市場参加者の現実的なニーズに真摯に耳を傾け、理論先行型の基準ではなく、実態に即した会計基準の開発を進めるべきである。
また、わが国の会計基準開発を担うASBJについては、今後、国際的な活動が一層重要となっていくことから、人材、資金の両面において体制強化を図る必要がある。
さらに、わが国では、法人税制と企業会計が密接な関係にあるが、会計基準のコンバージェンスと企業の国際競争力を向上させる法人税制の両立が図られるよう、関係当局が密接に協力し、個別に課題解決に当たるべきである。

◇ ◇ ◇

意見書の取りまとめと並行し、日本経団連経済法規委員会企業会計部会(八木良樹部会長)は、国際会計基準の開発を担っている国際会計基準審議会に対して、市場の声に耳を傾け、デュー・プロセスを順守した基準の開発を進めるよう、別途、文書で申し入れを行った。
日本経団連は、同意見書の実現に向け、関係者との連携を図りながら内外への働きかけを進める予定である。

【経済第二本部税制・会計担当】
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