日本経団連は13日、「日GCC(湾岸協力会議)経済連携協定の早期交渉開始を求める」提言を取りまとめ、政府・与党等関係方面に建議した。GCC加盟国は、アラブ首長国連邦、バーレーン、サウジアラビア、オマーン、カタール、クウェートの6カ国。
提言はまず、世界的に資源需給が逼迫する中、日本が現在、原油の7割を輸入しているGCC諸国との関係を強化することが、持続的・安定的に資源エネルギーを確保する上で極めて重要な課題であることを指摘。またGCC諸国は、日本にとって世界第4位の貿易相手地域であり、日本からの輸出規模でも既に日本が経済連携協定(EPA)の取り組みを開始している国と比べて遜色がないことや、最近の原油価格の高騰などを背景に購買力が一段と高まっていることなどを挙げ、日本産業にとって有望な市場であるとして、貿易や投資障壁を含めたビジネス環境の一層の整備を強く求めている。
提言はさらに、GCC諸国の市場をめぐる主要国との競争が年々激化しており、既にGCCが日本以外の主要国・地域(米国、メルコスール、EU、中国、インド、シンガポール、オーストラリア等)との間で自由貿易協定(FTA)などの交渉を開始していることを指摘。日本がこうした動きに後れを取ると、EPAがないことによる関税負担(GCCの対外共通関税率は5%)が引き続き発生し、日本企業が輸出産業を中心に深刻な経済的実害をこうむるおそれがあると指摘している。
その上で提言は、日本が、FTAの要素のみならず、エネルギー分野やビジネス環境整備を含むEPAを、GCCとの間で推進することは、対中東外交において戦略的に極めて重要な意義を持つとともに、日本企業がGCC諸国の市場で優位性を確保するためにも必要不可欠と結論。政府に対し、EPAについてのGCCとの共同研究会を設置するなど、日GCC経済連携協定の交渉開始に向けた取り組みを早急に推進することを強く求めている。