日本経団連タイムス No.2777 (2005年7月28日)

「知的財産推進計画2005」に日本経団連の提言が多く反映

−産業問題委エンターテインメント・コンテンツ産業部会
/辰野・内閣官房知的財産戦略推進事務局次長が説明


産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会(依田巽部会長)は11日、内閣官房知的財産戦略推進事務局の辰野裕一次長を招き、6月10日に知的財産戦略本部(本部長=小泉純一郎総理大臣)がとりまとめた「知的財産推進計画2005」(以下、知財計画2005)について説明を聞き、意見交換を行った。コンテンツビジネスは、2004年には13兆円規模となっており、日本は「知的財産立国」をめざし、コンテンツビジネス振興を国家戦略として推進している。知財計画2005は、03年の策定以降2度目の改訂版であり、日本経団連が今年3月にとりまとめた『「知的財産推進計画2005」の策定に向けて』の内容の多くが盛り込まれる結果となった。

辰野次長はまず、知財計画2005におけるコンテンツ部分のポイントとして、映像産業振興機構の活動への支援を指摘。設立に際しての日本経団連の支援に謝意を示すとともに、同機構が推進する人材育成や作品制作助成、起業支援、内外市場整備を支援していくとした。
続いて、コンテンツ流通の促進に向けて、日本経団連が提案している日本製コンテンツの作品カタログであるポータルサイトの整備を促進するため、必要な支援を行うことを明らかにするとともに、今後も日本経団連が果たす役割に対し期待を示した。
さらに、知財計画2005で新たに盛り込んだ項目として、ライブ・エンターテインメント産業の振興を取り上げ、民間によるホール・劇場などの集積化に向けた自主的な取り組みを支援していくことを表明した。
また、模倣品・海賊版対策については、世界の模倣品取り引きが年間65億円にのぼると推計されるとした上で、模倣品・海賊版拡散防止条約の提唱やコンテンツ・ジャパンマーク(CJマーク)の普及促進支援への意欲を示した。
その上で、知財計画2005の策定を踏まえ、04年12月に公表した「コンテンツビジネス振興に係るロードマップ」の改訂を行い、これまでの知財計画のフォローアップを行うと述べ、知的財産戦略推進事務局として今後も積極的役割を果たしていくことを強調した。

懇談終了後、映像産業振興機構(VIPO)の迫本淳一理事長が、6日に開催した同機構の2005年度通常総会の模様について報告した後、知財計画2005への日本経団連の提言の反映状況を踏まえ、部会の今後の運営について審議した。そのなかで、(1)税制・資金調達等の制度基盤整備 (2)コンテンツポータルサイト構築やCJマークの普及促進等を通じたコンテンツ流通促進 (3)人材育成や映画祭支援をはじめとする映像産業振興機構の活動支援 (4)ライブ・エンターテインメントの振興――を重点項目として掲げ、これらに応じた分科会を再編し、検討体制を強化することなどが決まった。

【産業本部産業基盤担当】
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