日本経団連は1日、パブリックコメントに付されていた新たな出入国管理基本計画の骨子案について、法務省に意見(「第3次出入国管理基本計画における主要な課題と今後の方針」に対する意見と要望)を提出した。
法務省は、第2次出入国管理基本計画(2000年3月24日策定)が今年3月末にその期限を迎えることから、現在、新たな基本計画(第3次)の内容について検討している。新たな基本計画は、今後数年間にわたり出入国管理行政の指針として、日本の外国人受け入れ政策に大きな影響を与えるものとなる。計画策定に先立ち法務省は、2月2日~3月1日にかけて、新計画の骨子案についてパブリックコメントを実施した。
これを受けて、日本経団連の産業問題委員会(岡村正共同委員長、齋藤宏共同委員長)・雇用委員会(大橋洋治委員長)合同会合は、昨年4月にまとめた「外国人受け入れ問題に関する提言」をベースに、改めて強調すべき点などにつき法務省に意見を提出した。意見の概要は、次のとおり。
新計画の骨子案では、専門的、技術的分野における外国人労働者の受け入れの推進に加え、現在、専門的、技術的分野に該当するとは評価されていない分野における外国人労働者の受け入れの検討に言及するなど、今回の法務省の姿勢は一歩踏み出したものと評価できる。
一方、外国人受け入れ問題にかかわる縦割り行政の是正については、方向性が全く示されていない。多文化共生社会を実現していくためには、現行の縦割り行政を見直し、関係省庁が連携して施策を展開していく必要がある。
高度人材をはじめ、日本が必要とする外国人の円滑な受け入れを一層推進するとともに、日本の経済社会のあるべき姿も見据え、その範囲を拡大していくべきである。
今後、長期的に労働力人口が減少していく中で、これまで以上に多様な分野で外国人を受け入れることが必要になる。骨子案に「現在では専門的、技術的分野に該当するとは評価されていない分野における外国人労働者の受け入れについて検討する」とあるが、結論を先送りすることのないよう、期限を区切って着実に検討すべきである。
単純労働の受け入れには十分慎重に対応するという政府の方針にもかかわらず、実態的には多数の日系人が単純労働に近い就労を行っており、これに伴い子弟の未就学や、社会保険への未加入、周辺住民との摩擦などの問題が生じている。
日系人問題は日本の今後の外国人受け入れにおいて試金石とも言うべき重要な課題であることから、地方自治体のみならず、国、企業がそれぞれの立場で日系人問題の改善に向けた取り組みを行う必要がある。