日本経団連が1月28日に発表した「第48回福利厚生費調査(2003年度)」の集計結果によると、社会保険料など企業が従業員1人1カ月当たりで負担した福利厚生費が10万811円と、初めて10万円台となり、5年連続で過去最高を更新、企業にとって大きな負担となっていることが明らかとなった。
同調査結果の概要は次のとおり。
企業が従業員1人1カ月当たりで負担した福利厚生費は10万811円(前年度比4.2%増)となり、同調査開始以来、初めて10万円台となり、最高額を5年連続で更新した。
このうち、健康保険や厚生年金保険といった、法律によって決められている社会保険料などで企業が負担した「法定福利費」は7万2853円(同6.3%増)で、初の7万円台となった一方、社宅やレクリエーションなど福利厚生のために企業が任意に負担した「法定外福利費」は2万7958円で、前年度より0.9%減少した。
法定福利費の増加には、03年4月より社会保険料の総報酬制が導入され、賞与などからの徴収が増加したことが大きく影響しているものと思われる。
月例給与と賞与・一時金を含めた現金給与総額(56万5935円)に対する比率は、福利厚生費全体が17.8%(同0.5ポイント増)で、3年連続して過去最高を更新した。
このうち、法定福利費は12.9%(同0.6ポイント増)、法定外福利費は4.9%(同0.1ポイント減)となっており、法定福利費の比率は3年連続で12%を上回った。
法定外福利費は、増加した項目と減少した項目に二分された。
増加した項目は「福利厚生代行サービス費」(前年度比40.9%増)、「医療・健康」(同11.3%増)、「共済会」(同5.8%増)。一方、減少した項目は「住宅関連」(同1.5%減)、「ライフサポート」(同2.5%減)、「慶弔関係」(同2.6%減)、「文化・体育・レクリエーション」(同4.3%減)、「その他」(同14.5%減)となっている。
福利厚生費調査は、1955年から毎年実施しているもの。約半世紀にわたる企業の福利厚生費の動向を把握でき、福利厚生費に関して、日本で唯一、毎年実施している調査である。法定福利費と法定外福利費の各項目について、企業が1年間に負担した総額を、年間延べ従業員数で除した1人1カ月当たりの平均値(加重平均)を、産業別・規模別に算出している。
今回の調査は、日本経団連加盟の業種団体の所属企業や日本経団連の会員企業を対象に実施し、714社(うち従業員500人以上の企業が7割)が回答。1社当たりの平均従業員数は3793名、平均年齢は40.1歳となっている。