[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2680 (2003年6月19日)

盧武鉉・韓国大統領招き歓迎昼食会/日本経団連など経済5団体が開催

−「日韓関係の将来明るい」奥田・日本経団連会長

−「さらなる協力関係必要」盧大統領


日本経団連(奥田碩会長)と日本商工会議所、経済同友会、日本貿易会、日韓経済協会の経済5団体は8日、東京・大手町の経団連会館に盧武鉉・韓国大統領を招いて、日韓財界人との懇談会および歓迎昼食会を開催した。同懇談会には日韓両国の経済団体長が、また、歓迎昼食会には日韓経済界関係者ら約190人が参加。歓迎昼食会のあいさつで奥田会長は日韓関係の緊密化が極めて重要とした上で、「日韓関係の将来は明るい」と語った。盧武鉉大統領も、「共に手に取り合って進んでいかなければならない」と述べ、日韓領国のさらなる協力が必要との考えを示した。さらに、日韓FTA(自由貿易協定)を早期に締結すべきとの認識でも一致した。

歓迎昼食会に先立って行われた盧武鉉大統領と日韓財界人との懇談会では、同懇談会前の会合で日韓財界人がとりまとめた共同コミュニケについて奥田会長が説明した。

共同コミュニケは、(1)日韓両国企業のさらなる戦略的連携の推進(2)韓国の「東北アジアビジネスハブ建設」構想と日本の「東アジア自由経済圏」構想実現への協力(3)包括的な日韓FTAの早期締結(4)国際社会への貢献――など、日韓関係の一層の緊密化に向けた両国経済界の決意を示したもの。説明後の懇談では、日韓FTAや東アジアにおける日韓経済関係、両国経済界による国際貢献の必要性などについて意見交換した。

懇談会に続いて、盧武鉉大統領歓迎昼食会が行われ、冒頭奥田会長があいさつした。奥田会長は、両国経済界がすでに活発にビジネスを展開しているとした上で、日韓FTAをできるだけ早く締結すべきとの考えを強調し、政府間交渉の早期開始を訴えた。
さらに、日韓関係の一層の緊密化が、21世紀の東アジアのあり方を方向付ける上で極めて重要との認識を示すとともに、昨年6月のワールドカップ共同開催を契機に緊密化が一層進んだと述べ、「日韓関係の将来には極めて明るい展望が開けている」との印象を語った。

奥田会長のあいさつ後、盧武鉉大統領が演説を行った。その中で盧武鉉大統領は、「北東アジア全体の共同繁栄のために、共に手を取り合って進んでいかなければならない」と述べ、北東アジアの平和と繁栄に向けて日韓両国が協力することの重要性を説いた。
また、日本企業が韓国に投資する際の最大の関心事である韓国の労使関係については、「変わりつつある」との見方を示すとともに、大統領自身が労使紛争の仲裁・調整に多くの経験があることから、「必ずや1〜2年以内に信頼と協力の新たな労使文化を定着させる」との決意を表明した。
今年1月に「日韓投資協定」が発効した投資分野については、今年下半期から、工業団地「経済自由区域」の運営により外国人の企業環境と生活環境を画期的に改善する計画があるとした上で、これを機に韓国に対する投資が一層拡大することへの期待を寄せた。
さらに、日韓FTAについては、「FTAを巡る議論が早期に政府間交渉段階へ進展することを期待する」と述べ、日韓FTAの早期締結が重要であるとの認識を示した。

盧武鉉大統領はこのほか、自由な人的交流のために、査証(ビザ)免除協定の締結や、ソウル(金浦)―東京(羽田)間のシャトル便の運航推進も呼びかけた。

◇ ◇ ◇

盧武鉉大統領歓迎昼食会には、日本側からは奥田会長、北城恪太郎・経済同友会代表幹事、宮原賢次・日本貿易会会長、瀬戸雄三・日韓経済協会会長、室伏稔・日本商工会議所特別顧問、韓国側からは金振杓・副首相兼財政経済部長官、尹永・外交通商部長官、尹鎭植・産業資源部長官、趙世衡・駐日韓国大使のほか、日韓経済界関係者ら約190人が参加した。


日本語のトップページ