3月26日/報告
日本経団連では、1996年に環境自主行動計画を策定して以来、その実現状況についてフォローアップを実施しており、昨年7月には、環境自主行動計画の透明性・信頼性の向上を図るため、第三者評価委員会(委員長:山口光恒慶応義塾大学教授)を設置した。第三者評価委員会は、10月から今年3月にかけて2002年度環境自主行動計画フォローアップの評価を行い、評価報告書を取りまとめた。以下はその概要である。
2003年3月26日 環境自主行動計画第三者評価委員会 |
日本経団連の環境自主行動計画は、自主協定と同等の性格を有することが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第3次報告でも認められている。
地球温暖化対策推進大綱は環境自主行動計画を産業部門の温暖化対策の中核とする一方、透明性・信頼性の向上が課題と指摘した。そこで同計画の透明性・信頼性の評価、改善点の指摘のため第三者評価委員会が設置された。
2002年度はデータの収集、集計方法の妥当性を評価した。評価に当たり日本経団連事務局から説明を聴取、各業種提出データを点検するとともに、数業種からヒアリングを実施した。
各企業提出データは省エネ法報告等の裏付けがあり、排出量計算式はIPCC方式に則っている。カバー率、集計方法等は概ね問題ないが、フォローアップ対象範囲の調整、排出量増減の理由の説明等が不十分である。
ダブルカウントを避けるため、業種間、部門間の調整が必要である。また業界団体非加盟企業は含めないほうがよい。
予測値算出の前提には統一経済指標を用いることが望ましい。
総量目標と原単位目標の長所短所を考慮した目標設定の検討が中期的課題であるが、当面はそれぞれを採用する理由を明示すべきである。
個別業種版では、生産量の増減、海外移転、設備稼働率の変化、製品変化、産業構造変化等、排出量増減の理由を詳細に説明すべきである。
排出量の増減要因と今後の排出量の推移への影響、その結果としての目標達成の見通し、目標の妥当性につき、より綿密な数量分析が必要。
従来の産業部門に限定した実績評価に加え、製品のライフサイクル全体でみた排出削減実績の評価方法の構築が望まれる。
(注) LCA:ライフサイクルアセスメント 原材料採取から製造、流通、使用、廃棄に至るまでの製品の一生涯(ライフサイクル)で、環境に与える影響を分析し、総合評価する方法。製品の環境分析を定量的、総合的に行う点に特徴がある。
(出所:「平成14年版環境白書」より)
(1)(2)の評価方法の開発ならびにデータベースの構築、さらに評価そのものを専門の外部研究機関に委ねるのもひとつの方法である。
各業種が上述の課題に自主的かつ積極的に取り組み、環境自主行動計画の信頼性・透明性を向上させるよう期待する。
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