一般社団法人 日本経済団体連合会
【大阪・関西万博】
〔万博の成功に向けた課題や、やるべきことを問われ、〕本日午前に万博会場を視察したが、大屋根(リング)がほぼ完成し、パビリオンの建設も始まっており、活況を呈しているという印象であった。引き続き、安全に建設を進めていく必要がある。加えて、今後は円滑な運営も重要になってくる。第2期PR重点期間(9月から11月)や来場日時・パビリオン等の予約開始(10月頃から)に向けて、万博の具体的なコンテンツを発表していく。機運醸成に努め、一般の方々の前売り券の購入数を増やしていきたい。建設も運営も、これからが正念場になっていくだろう。
〔海外パビリオンの完成の見通しについて問われ、〕完成時期について現時点で私からお答えできないが、着実に進捗していくものと思っている。参加国が自ら独自に建設する「タイプA」のパビリオンの建設は当初60カ国が希望していたところ、現時点では、49カ国となっている。そのうち41カ国はすでに施工業者が確定している。
〔タイプAでの参加を表明した国のうち8カ国で施工業者が決まっていないことについて問われ、〕当該8カ国についても、発表できる段階ではないが、進捗がみられている国もあると聞いている。博覧会協会が建物の建設を代行する「タイプX」への移行も可能である。
〔経済界としての前売り入場券の購入について問われ、〕経済界全体で700万枚の前売り券の購入を目指している。経団連も応分の責任を果たすべく努めており、目処は立っていると考えている。
〔関西会員懇談会の中で、会場建設費の3分の1を担う経済界の負担金として経団連がさらなる募金を会員企業に呼びかける方針を明らかにした、との一部報道について問われ、〕懇談会の場でそのような議論のやりとりはなかった。工事単価の見直し等で費用削減を図っており、現時点で会場建設費を改めて増額する予定はなく、既に寄附をいただいている会員企業に新たに金額を上乗せして寄附を募る予定もない。企業からの寄附は、当初の想定以上に集まっている。
【株価】
〔現在の株高と実体経済の現状について所見を問われ、〕現在の株高は、円安傾向の為替の影響で日本企業の業績が総じて好調であることも背景にあり、諸手を挙げて喜べるわけではない。日本経済のファンダメンタルズを適切に反映した為替水準にすることも必要である。
他方、年間100兆円を超える民間の設備投資や、歴史的な賃金引上げの実現など、日本経済の潮目の大きな変化が評価された面もあろう。この機を逃すことなく、デフレからの完全脱却、ひいては成長と分配の好循環の実現を確かなものとし、真に株高を喜べる日が来ることを期待している。
【企業不祥事】
〔企業の不祥事が相次いでいる原因について問われ、〕あってはならないことであり、非常に残念である。コンプライアンス体制が強化され、こうした事案がより認知されやすくなっているとすれば、それ自体は結構なことである。企業は社会性の視座に立った活動が求められているという根本に立ち返らなければならない。経団連も企業行動憲章の遵守を一層呼びかけていく。
【関西経済界の訪中】
〔関西経済連合会等の関西経済界による訪中(11月予定)について問われ、〕政治的に厳しい状況であるからこそ、対面での経済外交は重要である。経済界、とりわけ中国に縁の深い企業が多く在籍する関西の経済団体が訪中し、率直な意見交換を行うことは結構なことである。訪中後、是非ともその成果について伺いたい。
【コーポレートガバナンス改革】
〔関西経済連合会や各地の経済連合会による、マルチステークホルダー資本主義を掲げたコーポレートガバナンス改革に関する提言(2023年9月公表)について問われ、〕経済団体は、それぞれのアプローチで声を上げればよいと考えている。経団連は、サステイナブルな資本主義を掲げ、社会性の視座に立ち、行き過ぎた株主資本主義による弊害の解決を目指している。コーポレートガバナンスについても、コードの内容をただコンプライするだけでなく、自社の考え方を堂々とエクスプレインし、投資家と企業との対話を深めていくことが大切であり、そこに焦点を当てた改革が特に重要と考えている。加えて、市場に対する適切な情報開示を進めつつ、過度な開示を合理化するよう、政府に働きかけてきた。