一般社団法人 日本経済団体連合会
【政治と経済界】
現代社会は、気候変動や経済安全保障などの社会課題が複雑に絡み合い、より大きな危機を生み出す、ポリクライシスに陥っている。政治や経済が単独で解決できる問題ではなく、今ほど政治と経済界の連携が求められる時代はない。経団連の目指す「サステイナブルな資本主義」は、岸田首相の提唱する「新しい資本主義」と軌を一にしている。安定した政治基盤を背景に重要な政策課題に取り組まれることを期待する。経済界は今後も、政治と積極的に連携をとっていく。
【会員企業の多様性】
〔経済安全保障に対するスタンスが各国で異なる中、外資系企業にも門戸を開くことについての考えを問われ、〕経団連は基本的に多様性を尊重する。既に多くの外資系企業が会員になっており、今後も増えるだろう。
政策提言は、日本企業か外資系かを問わず多様なメンバーが委員会などで丁寧に議論を重ね、プロセスを踏んで作成している。経済安全保障といった機微に触れるテーマについても、経団連の基本スタンスや提言は適切な形で取りまとめられることになると考えている。
【日本・韓国経済委員会】
日本と韓国は、自由、民主主義、法の支配といった共通の価値観を有し、さらには、経済安全保障や少子高齢化などの課題を共有する隣国である。尹錫悦大統領のご英断に端を発し、日韓関係が正常化に向かう機運が高まっている。これをとらえ、日韓両国の経済界も連携を進めている。本日新設した「日本・韓国経済委員会」では、先般設立した「日韓・韓日未来パートナーシップ基金」とも連携しながら、若手人材交流の促進や半導体サプライチェーンの強化、エネルギー・食料安全保障の協力強化等を進めていく。
【人口減少・少子高齢化】
日本社会の目下の最大の課題は「静かなる有事」ともいわれる少子化である。少子化対策を進める上で克服すべき喫緊の課題がある。1つは、若い世代が希望すれば結婚でき、子どもを持てるだけの所得水準を可能とする賃金引上げである。もう1つは、若い世代の将来への漠然とした不安を解消できる全世代型社会保障改革である。これらは「分厚い中間層」の形成にもつながる重要課題であり、全力で取り組んでいく。
〔少子化対策に取り組む時間軸について問われ、〕10年、20年といった中長期の時間軸での取り組みが不可欠である。他方、少子化は一刻の猶予もない、待ったなしの課題である。短期的な対策と中長期の視点に立った対策を同時並行で進めていくことが肝要である。