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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2022年12月19
一般社団法人 日本経済団体連合会

【2022年の総括】

ロシアのウクライナ侵略により国際経済秩序の根幹が揺らぎ、エネルギー安全保障、食料安全保障が課題として浮き彫りになった。また、気候変動問題とそれに伴う生態系の崩壊、新興感染症への対応などの課題も未だ解決に至っていない。来年はこれらの課題の解決を着実に前進させたい。

そういう中にあって、経団連は、グリーントランスフォーメーション(GX)の推進やスタートアップの躍進等に大いに貢献できた。政府会合への参画等を通じて、経団連の主張や提言の多くを政府の政策に反映できたという自負がある。今後注力すべき課題は、成長と分配の好循環の実現である。国内投資、なかんずく設備投資を進めるとともに、人への投資を通じて、分厚い中間層を一刻も早く形成していきたい。

【日銀の金融政策】

大規模な金融緩和により、「もはやデフレではない」という状況が現出した。この間、政府は成長戦略などのサプライサイド政策を講じて企業の投資意欲を刺激したが、実際には海外投資が依然優勢で、国内投資は大きなうねりには至らなかった。その結果、有効需要の創出、生産性の向上が思うところまできておらず、忸怩たる思いはある。しかし今、GXや2050年カーボンニュートラルに向けた設備投資、人への投資の機運が盛り上がっており、国内投資を促進する千載一遇のチャンスである。

〔「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」の見直しについて問われ、〕共同声明には、金融政策を含むマクロ経済政策等について定期的に検証を行うと明記されている。コストプッシュ型ながらも日本でインフレが起きつつある中、物価安定の目標を達成するための適切な金融政策について政府と日銀が認識を一にし、連携していくことはこれからも不可欠であり、両者の間でしっかりと議論する必要がある。

【防衛費増の財源】

安全保障・防衛は日本国民全員が裨益者であることから、防衛力強化の財源も国民、社会全体で広く、薄く、偏らず負担するのが適切である、とかねてより主張してきた。企業も社会の構成員として、一定の負担をすることはやぶさかではないが、結果として、税制措置による負担がやや法人税に偏ることになる。加えて、中小企業への配慮もあり、大企業の負担が大きくなったという印象を持っている。企業としては、税負担が増えるのは痛いが、それで国内投資や賃上げを諦めるという考えは毛頭ない。政府にも強力かつ継続的な政策的支援を求めたい。

【新浪経済同友会次期代表幹事】

〔経済同友会次期代表幹事に新浪氏が内定したことについて問われ、〕新浪氏は、若くしてローソンやサントリーの舵取りを担われた立派で優秀な経営者である。経済財政諮問会議の民間議員でもあり、私も議論の場でご一緒している。また、経団連では、審議員会副議長を務められ、今は観光委員長として活躍されている。強い提言力と発信力に大いに期待している。日本は内外に課題が山積し、正念場にある。経済同友会や日本商工会議所と引き続きよく連携し、課題解決に邁進してまいりたい。

【今年の漢字】

「力」による一方的な現状変更の試みを阻止するには、正義の「力」が必要である。そのためには、経済・安全保障・外交を一体的に捉えた政策が不可欠であり、その一環として、防衛「力」の強化も図られる。新型コロナはもとより、先々遭遇するかもしれない未知の感染症を克服する上で、mRNAワクチンなど科学が大きな「力」となる。こうしたことから、「力」としたい。

以上

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